束縛愛Part4 (ページ30)

今日:87 hit、昨日:90 hit、合計:157,281 hit

好きになったのは④ ページ30

〜智〜

その日の翔くんはすこぶる上機嫌

買ってきたケーキを彼女と2人で食べながら

……え？俺のは？

マジで2人分しか買ってないんだけど

翔｢ケーキはあまり好きじゃない？｣

｢え？｣

翔｢あんまり嬉しそうじゃないから。ごめんね！次からはちゃんと、Aちゃんの意見聞くから！！｣

彼女と出会ってから翔くんは少し、いや、かなりおかしくなった

櫻井翔という人間を彼女のためだけに存在させようとしている

｢ケーキは食べたことなかったから。でも、嫌じゃない｣

2人の会話を盗み聞きながら、ん？、って疑問が浮かぶ

ケーキ食べるよね

誕生日とかクリスマス女の子ならひな祭りとか

翔｢食べられるよ。これからずっと。俺がAちゃんに買ってきてあげるから｣

智｢翔くん。さっきから携帯鳴ってるよ｣

めちゃくちゃ通知きてる

メッセージを確認した翔くんは死にそうな声で

翔｢智くん。俺の代わりに緊急の会議に行ってくんない？｣

智｢翔くんの呼ばれた緊急会議に俺が行って役立つと思う？｣

翔｢リーダーだし、いけるでしょ｣

智｢本当にそう思う？｣

行きたくないと駄々をこねても結局は行くことになるのだと諦めた

翔｢すぐ帰ってくるからね。多分1〜2時間。あ！お土産にまたケーキ買ってくるよ。ショートケーキじゃないのね。美味しい店があるんだ｣

｢大丈夫……｣

翔｢あ……ごめ、そうだよね。ケーキはさっき食べたもんね！和菓子にするよ！じゃあ行ってくるね！｣

あんなにイキイキした翔くん初めてだな

彼女の｢いらない｣って意味にも気付かないほどに

さてと、俺は早く絵を仕上げるとしますか

なんか……ものすっごい見られてる

視線が突き刺さるって、このことか

智｢えーーっと、描く？｣

｢いえ。私は……下手ですから｣

智｢大丈夫だよ。はい｣

鉛筆とスケッチブックを渡すと、固まった

そんな苦手(ダメ)なんだ

智｢犬とか猫とか、簡単なもの描いてみたら｣

真剣な顔で真っ白な紙とにらめっこ

でも、手は動かない

智｢や、あの……限定しなくても、好きな物を描いていいんだよ｣

｢好きな……｣

迷いながらも、何かを描き始めて、すぐに描き終わった

智｢これは……？｣

｢ココア。一緒に飲んで、美味しかったから｣

なんて、ホッとした表情で言うから、本当に好きなんだなって思った

深くは聞くつもりはないけど、誰と飲んだのか気になるのは何でだろう