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〜本郷家の高層ビル〜
ホテルみたいな内装で、高層ビルらしい構造のガラス張りの大きな窓口。
床は、大理石の真っ白さと、幾何学(きかがく)的な模様が、美しい絵柄を、彩っている。
まるで、透明感の高いクリスタルのような輝きを、大きなガラス張りの窓口から、射し込む太陽の光に、照らされている。
べるは、食事会が終わり、定例(ていれい)会にも前半だけ、少し顔見せをして、本郷家の高層ビルのエントランスを、歩いていた。
セバスチャンは、定例パーティーの後始末、いわゆる、「根回し」だ。
名家のご令嬢が、このようなあり様の堕落した人間と、思われないように、セバスチャンの話術で、丸く収める。
物は言いようだと、べるは内心で、思っていた。
自分の後始末を、執事に、任せ、自分はエントランスを、歩き回っている。
べるの目の前に、映り込む景色は、行き来する執事。真っ黒なカラスのような姿で、エントランス内を、行き来している。
べるは、そんな行き来する執事たちを一眼見て、１つの家に長年勤めた方が、安定志向だと、思えてしまった。
巨大な組織は、人の入れ替わりが、激しく。何回部署が、
あるかも分からない状態も、ありえる。
まさに、財閥のような組織構成だ。巨大コンツェルンのような、銀行一家のような雰囲気だ。
すると、2人の執事が、べるが行き止まりのような死角で、ふらふらと歩いていると、近づいて来た。
2人の執事の姿を視線で、捕らえた。
べるは、内心で「あの2人か。」と呟いた。
本郷家にやられぱっなし、翻弄するのも、甘い蜜を啜るだけ啜った挙句の果ては、これだ。という不始末の多さ。
権力にしがみついて、物質的な幸せや富(とみ)を得ている。
まさに、敷かれたレールを歩かされているような人生。そんな、権力者を背後に纏う、2人の執事。2人の執事は、双子といえるほど、外観が似ている。
アイドル系の顔立ちで、ホステスさんのような雰囲気。人世代前の夜の街のホステスのようなイメージだ。
ただ、べるは知っている、この2人の執事が、そんな軽薄な人間ではないことを。
むしるだけ、むしり取る、本郷家になんとも言えない感情を、心の中に秘めている感情が、苛立ちに変わる。
苛立ちを、抑えるように、唇を噛む。
唇を噛むと、唇の薄い皮膚が、破れて、唇の端から、血が少し、唾液と共に濁りながら、垂れる。
「べる様。お疲れ様です。
定例パーティーのお勤めご苦労様でござました。」
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作者名：ベルモット | 作成日時：2022年7月19日 8時
