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『・・・・・っ。』
べるは、唇を噛んだ。苦虫を噛み潰したような表情。眉を顰める。不愉快そうに睨みをきかせる。
また厄介ごとに巻き込まれる。巻き込まれ体質は健在なようだ。
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〜べる視点〜
学生でいられるのはほんの少しの時間だけ、モラトリアムと。
どれも正解だ。嫌なほどに、正確な正解だ。べるは、苦虫を噛んだような表情で、視線だけを、セイバーを寄越す。
セイバーは、よそいきな顔で、こくりと頷く程度の反応を、見せる。知的な振る舞いを、心掛けている様子だ。
モラトリアム、大人になる猶予だ。学生でいられる時間は、限られている。人生の半分もまだ加算でいない。
計算様式しているような、雰囲気はまったくも、へったくれない。
身も蓋もない。なんで、あいつ(忍)が、僕を学園へ誘うのか。
忍とは、幼少期に一度二度と出会って、顔を見知り程度の中だ。
それに、当時はまだ、僕は子供だ。いまも子供では、あるが一様学生として扱ってほしいが。
そんな子供に、長年肩入りする、物好きな大人がいるのか。いないのか。それも執事だ。サービス精神は豊富。
リップサービスならなおさら得意だろうから。あの色目使いめと、念を押す。
ただ忍が言ってることは、ありがち間違っていない。それは、嫌なほど正確で正解だ。ほんとに身も蓋もない。
セバスチャンは、紅茶を注ぎ直そうとする。すると、べるは視線だけで、「まだ良い。余計なお世話だ。」と、訴える。
すると、セバスチャンは、引き下がる。身を顰める。影となる半分呆れた表情をして、分かりきった答えだと言うように。
べるは、諦めた表情で、ため息を、零しながら、流れる衰弱のような、時を隠すその瞳のように。
『分かった。
行けばいいでしょう。
行けば。忍(しのぶ)。』
すると、忍は。
忍「良きお返事が聞けれて良かったです。
では、数ヶ月後、聖ルチアでお会いしましょう。」
真っ白なフォーマルの燕尾服で、腰を折るように、手を胸元で抑えるようにして。側からみたら、紳士的な姿。
『・・・』
その後、パーティーはお開きになった。
脳裏に焼き付いた光景は、満足顔のしおりと忍の不敵な笑みだけ。
甘い蜜を、吸い上げる蜂のように、吸い上げるだけ吸い上げて、後始末はこちらに任せる人物像。
そんなザ・人間のような人間を、セバスチャンは、赤色に光る乱反射する瞳で、見下したような視線を、影で投げている。
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作者名:ベルモット | 作成日時:2022年7月19日 8時