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3 プロローグ ページ5

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しおりとべるの席が、正面の席ではなく、正面から少しづれた、斜めな位置に座っている。

都会的な場所で、ディナーをするのは、久しぶりだ。久しぶりすぎて、実感がなく、食べ物を食べても味覚がないように、感じてしかたない。




しおりは、横に視線を寄越す。
その視線に壊れた人間のような雰囲気がある。






べるは静かに呆れ帰り、眉をやや斜めに下げて顰める。
眉を顰めるその真意は、何処へ吹くのか。







どことなく、虚しさが残るディナーだった。





べるは、神社やお寺の泉に咲いている蓮の花のような雰囲気を持っているところがある。桜のような儚さがあり、枝に力を加えられるとすぐに折れてしまう性質もあると。


ビル群層が立ち並ぶ都会。その都会の象徴的なシンボルのように、高く聳え立っている本郷家の本部。

遥か昔の森羅万象を奪い、壊したような長い歴史の上に、
覆い被されたように、立ち並ぶビル群層。

ーーー

べるの視線は、窓口の外の景色に、奪われていた。アンティーク調の窓口の枠が、縁取りされている。


長い真っ黒なまつ毛が、縁取りされたその下には、真っ黒な瞳を持つ眼科が、埋め込まれている。

首元には、翡翠(ひすい)色の宝石が、埋め込まれている
アンティーク調の首輪が、飾られている。ターコイズ色の文字で模様が彩りを見せてくれている。



そして、べるは、肉料理を食べ終わったようだ。肉料理は、油が凄まじい量だ。消化にも時間が、かかる。消化に悪い率が、高い。だが、ボリュームがある分、腹持ちする


口直しに、べるはセイバーが注いでくれた紅茶を、飲むために、アンティーク調の真っ白なマグカップのソサーを、片手で、持ち上げ、唇に近づけた。



しおり「どうかしら?お口に合いました?」



にこりと微笑。柔らかい物腰から、想像もつかないほどに、図太いんだ。
今まで、本郷家の血縁関係者として、後継者候補の座を、牛耳っている。
ただ、血縁は直系ではなく。直系の血縁者ではない境遇から、周りのお金持ちたちから冷たい仕打ちをされて来たと、執事協会のあの2人の執事から、噂は小耳に入れている。



『嗚呼
どれも味が濃厚(のうこう)で。
悪くはない。』



忍は、口直しで紅茶を飲んでいるべるを、視線の矛先にしている。
いや、実質的には、べるでなく、べるの後ろのセバスチャンであるのだろうか。

何処となく対立関係になりそうな雰囲気だ。歪にもな。


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作者名:ベルモット | 作成日時:2022年7月19日 8時

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