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都内(とない)の町外れ。
一角だけ孤島の造りをしているエリア。そのエリアこそが、都姫寺家が所有・管理を置く。
近所の人々は、むかし宗教家やキリスト教の人間たちが、陣取りしていた場所だとか、云々を噂している。
それもそのはずだ。所有地の周辺には、キリスト教・カトリック教会や廃神社の跡地、朽ちた集落の跡地、廃墟など、不動屋さんが手も足も付けられない物件ばかりが、肩を寄せている場所。人目につかない一角の地区。
ある意味死角でもある。
その空気感も、鬱々(うつうつ)としたものが、年々貯まっていく感じがする。
先代代々と「緻密」な行動が主軸になっている家の姿。
ネオン街の発光した光が、豆粒のような光景。それぐらいの場所である。辺鄙(へんぴ)という言葉が一番似合う。
紅葉(こうよう)が色づき、ししとしから、落ちる水の音。
庭園は日本式の庭園。屋敷のエリアの入り口は、お寺のような巨大な門が聳え立つ。
セバスチャンの安全運転で、自宅兼離れに到着。セバスチャンは、眠気に負けじと土色の顔色になっているべるを、起こすために、か細い背中を、揺らす。
セバスチャン「お嬢、お目覚め下さい」
すると、揺れた肩の振動で、眠気と怠惰な気持ちが、半混ざり状態で、眠気覚しになり、目覚めた。
目覚めたと言っても、すでに夜空だ。真っ黒な夜空。離れの周辺は、紅葉の木や、4月には桜が咲く木が植えてある広場。
竹藪(たけやぶ)の細い道、その奥に、関係者以外立ち入り禁止区域がある。
その禁止区域が、駐車場になっている。駐車場のまわりには、入り口はお寺の門が、威武堂々(いふどうどう)と構え聳え立つ。
古典的な日本家屋のような離れ、少し侘び寂び的な雰囲気がある。萎れたような、鬱(うつ)くしく、しっとりとした雰囲気がある空気感。
べるは、座席に座っていながら、肌寒い空気に肩を揺らす。
定例パーティーでドレスコートを纏っていたことから、透け透けのスレンダーなドレスだ。
布が薄い生地で、肌寒い空気が、ふんわりと服装の中に、侵入してくる。
肌かた、肩のストールを、紫色の羽織りものを、セバスチャンは、黒塗り車の扉を、開けぱっなしにして、べるの不健康な首筋から、胸元、そして腹下部までを、隠すように、ストールで覆う。
その姿は、まさに騎手感はあるだろうと、けど目の前に、佇み、お召し替えのようにストールを、羽織り、直してくれている姿と、裏は腹な正体。その正体とはーーーー。
『少し寒い、露天風呂の準備を』
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作者名：ベルモット | 作成日時：2022年7月19日 8時
