めいちゃんの執事〜右目は盲目の少女〜 (ページ14)

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〜車の中〜

運転は執事のセバスチャン。
車の窓ガラスの外は満月の夜。
1ヶ月後に聖ルチアへの復帰が待ち侘びている。

停学期間中。

他の生徒たちと違って亡き親の娘。家の仕事、経営に関する仕事まで引き受けている。実は、その中で学生生活をしている。だから、学園長のローズさんに、少しの間、お休みを取れないか、と相談した所によると「特殊な家庭環境だからね。どうぞ、お仕事と息抜き、楽しんで〜」と言われた。学園長・ローズさんが、リベラルな人で救われた反面、停学(ていがく)中の間、【ルチア】と【あの白執事】が、何かしなければ良いのだが。
【本郷家】の家格を利用している一面もある。あの物腰の柔らかさと地位を持つ。

不思議な魅力を持つ人間。ルチアにとっては計算尽くされた行動だろうと、推測できる。

べるは、学園への一株の不安を抱えていた。そんな内面もあり、その上張り詰めた見栄はがりのパーティーなんて、
神経過敏の自分には荷が重い。

しかし代わりに主席できる人間が、他にいない。亡き親の宿命のような感覚だ。捨てられた犬のような気持ち。

ご令嬢月例パーティーに主席後、根回しを終えたセバスチャンと合流。合流後、黒塗りの車で、屋敷まで真っ直ぐ帰宅。

べるは、久しぶりの月例パーティーで外面をつくりながら、仮面を貼る振る舞いに、嫌気を刺す、疲労が溜まっている顔色。眠気と睡魔にほだされた顔。
痩せかけた顔がさらに痩せかけた。疲労した顔。虚な目。

ストールを羽織っている。薄痩けた痩躯(そうく)な身体に纏っている。影がある雰囲気を漂わせている。

セバスチャンは、運転しながら、左右鏡に映る自分の主を、ちらりと覗き見る。

痩せかけた顔を車の窓ガラスに、べたりとくっつけて、だらりとしている。肩張りをしていないリラックスした姿。

セバスチャンは、クスッと口元で笑みをつくる。主の眠気が襲ってくるその表情を、ひっしで我慢、耐えている姿を、セバスチャンは上目違いで、頭上の鏡で覗き込んだ。

お疲れの主のために、パーティー会場のケーキをお持ち帰りさせてもらった。紙の箱に入っている、その箱は、運転席の隣の椅子に置いてある。ガトーショコラが好きな主のために、買い置きをしている。本日の夜間のお茶は、ガトーショコラだろうと、セバスチャンは安息を決め込んだ。

セバスチャン「本当に人間は面白いですね」

セバスチャンは舌を引き出す。すると舌には、黒色の線で、ペイントされた絵柄が、彫られたような姿形をしているものである。