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「行くなよ剣心！！！」
「どうしちゃったの？！」
不殺を信念とし、
元人斬りであろうとも人の道をゆかんとする男の
らしくない態度に三人は慌てて詰め寄った。
「離せ左之。
世間がどう言おうと
Aは拙者の友人でござる」
「だからそれが有り得ねーって言ってんだよ！」
離せと言われたのを
更に握りしめて左之助は怒鳴った。
御国。
幕末の京に突然出没した男。
出自不明。
初めは雇われの傭兵。
次に新撰組。
そして倒幕派の薩長に加担した異端の人斬り。
専ら金目当てに暗躍した男と囁かれ、
人が信念を持って戦ったあの時代において、
唯一武士道の欠片もなく戦った男。
なまじっか強かったばかりに、
御国の手に掛かり
あまたの心ある侍が命を散らした。
故に、侍殺し。
最終的には御国が味方した新政府も、
勿論破れた旧幕府も、
どちらも彼だけは許さない。
「……あいつは、拙者よりも先に、
何もかもに気づいていただけなんでござるよ」
ボソリと緋村は呟いた。
熱くなった三人にはその声は届かない。
いつの間にか緩んでいた手をそっと外して、
急いで外に駆け出した。
「御国！！！！」
くるりと
暗がりの中を煙草の灯りが振り返った。
慌てて駆け寄れば、
キョトンとした顔をしてAは立っている。
辺りはもうもうと煙草の香りが立ちこめていて、
匂いに酔いそうだと緋村は思った。
「A、待て、ちゃんと話をすれば」
分かってくれる。
緋村はそう言ってAに触れようとした。
「はいストップ〜」
それを煙草の火で押しとどめてAは笑う。
あぁ、何時もの。
暗くなっていても雰囲気でわかる。
儚くて透明で、
確固たる拒絶を含んだ憂い顔。
「帰れよ。
お前と、俺は、違う」
ぴ、と煙草で振り払われた。
煙が顔を撫でるだけの、
軽やかでいて避けられない遮断。
線を引くように煙草を振ると
Aは其の儘口に戻した。
「お前、やっぱりさっきのは」
「お前が
俺と別れたあと何があって
何を考えて
それで今のお前なのかはわかんないけど
今のお前も殆ど知らないけど。
……多分、こっち側は、お前の居場所じゃないよ」
ふわりと煙が顔を覆い隠す。
「好きなんだろ？」
良い奴らっぽいもんな。
お前が誰かと一緒に暮らすとか、意外！
Aは楽しそうに笑った。
雲間に隠れていた月が顔を出す。
「……もう少し東京にいるよ。
でももう、会いに来なくていい。
お前は少し、俺の事勘違いしてるよ」
Aはそう言って踵を返した。
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N - フウマさん» コメントありがとうございます！！過去は…僅かに交錯する程度かもです…すみません…きっと好みが分かれる作品なので、ぼんやりと読んでくださいますと幸いです。頑張ります！ (2020年8月3日 21時) (
レス) id: ebe3e0c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
フウマ(プロフ) - 夢主の過去と剣心の過去がどう関わっているか楽しみです。これからも更新頑張ってください。 (2020年7月29日 15時) (レス) id: 5ffdf3628a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢主を可哀想な目に合わせるのが好きなN | 作成日時：2020年7月26日 22時
