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「この触書を往来に貼っておくこと!」

「あーい」

必ずだぞ!
念押しして、官憲が去っていく。

青年は渡された髪をちらりと盗み見て、
派手に顔を顰めた。

「やだやだやだやだ」

「Aにーちゃーん!!!!」

「おーう!!」

パタパタと少年が走ってくる。
Aと呼ばれた男は、
後ろ手に紙を握りつぶした。

「まったくあの人も運がないなぁ」

「え?」

「ふふふ、なんでもないよ。
それにしても黒の着流しね。
服くらい変えるっつーの。なぁ清太」

「え?うん、?」

「お前でもわかるよなぁ!」

ワシワシと空いた手で少年の頭を撫で回す。

「うわぁ!どうしたのにーちゃん!!!」

「うーん?俺は今気分がいいんだよ」

「まぁにーちゃんいつも変だもんね!」

「うん?清太??」

あれ?と乾いた笑顔を零す青年。
お察しの通り触書に書かれていた男は彼である。

触書の男であり、
この物語の主人公(?)


「さて、そろそろこの村ともおさらばだなぁ」

「え?にーちゃん出ていくの?!」

「何言ってんだ、
俺がずっと居たら
この村の食料を食い尽くしちまう」

「そんなのダメだよ!!」

ガシッと少年はAの足に捕まった。

「だろ?
だからそろそろ」

「いなくなっちゃダメ!!!
そんなの、やだよぅ……!!」

「おああ、泣くなよ清太ぁ……」

じわぁ、と少年の瞳に膜が張ったかと思うと、
直ぐにそれは溢れてボロボロとこぼれ落ちる。

「だめ!
にーちゃんはずっとここにいるんだもん!」

「………………清太、
お前この前妹が産まれたんだっけ。」

「そんなの今関係ないだろ!!!」

ガツンとの少年拳がAの大腿を打つ。
いた、と軽くAは顔を顰め、
静かに少年の頭に手を伸ばす。

「お兄ちゃんが泣いてちゃダメだな。
お前があの子を守ってやるんだろう?
……俺はこの辺フラフラして、
絶対この村にまた帰ってくるよ。
その時にはさ、
きっとお前も大人になってるだろ?
……その時は俺に沢山話をしてくれ。
な?」

「……………………ぜったい?
ぜったいかえってくる??」

ぐず、と
鼻水の垂れた顔がAをおずおずと見つめた。

「ぜったい。約束するよ。」

鼻がほころぶような顔でAは笑う。

「だからまたな?」

あんまりにその顔が柔らかくて、
少年は思わず頷いてしまったのだった。

「にーちゃーん!!!!
絶対だからね!!!!」

「おーう!またな!!!清太!!!!!」

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N - フウマさん» コメントありがとうございます!!過去は…僅かに交錯する程度かもです…すみません…きっと好みが分かれる作品なので、ぼんやりと読んでくださいますと幸いです。頑張ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: ebe3e0c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
フウマ(プロフ) - 夢主の過去と剣心の過去がどう関わっているか楽しみです。これからも更新頑張ってください。 (2020年7月29日 15時) (レス) id: 5ffdf3628a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢主を可哀想な目に合わせるのが好きなN | 作成日時:2020年7月26日 22時

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