8話 ページ10
「青い鼻のトナカイ」
俺は思わずつぶやく。
ルフィとサンジが出ていって少し。
扉に隠れよう……としているんだと思う。
多分そう。逆だけど。
隠れようとしながら覗き込む、
小さなトナカイがいた。
「なっ、なんで？！」
自分の姿を客観視できないのか、
なんでバレた？！なんて顔をするトナカイに、
思わず笑ってしまう。
「ははは！！……お前面白いな！
体逆だぞそれ。多分」
はっ！として慌てて隠すほうを変えるトナカイ。
「遅せぇよ！！」
びく、と身体を震わせるトナカイに、
笑いが止まらない。
「可愛いなぁお前」
「うるせぇ！！
……お前、半袖で外で寝てたんだぞ！！
お前の方がバカだ！！！」
「がーん」
他のやつに言われたら普通に傷つくが、
こんなにドジなやつに笑われても
何だか負け惜しみみたいで可愛く思えてしまう。
「お前、名前なんて言うんだよ」
「………………」
反応しないトナカイに、
俺はああ自分から名乗らなきゃ。
と思って口を開く。
「俺はハク。
なぁ、お前、名前は？？」
「…………トニートニーチョッパー」
「へぇ、チョッパーかぁ。
……んん？
お前、喋れるのか」
びく！とまた体を震わせるチョッパー。
なんだなんた訳ありか？
と俺は慌てて口を噤んだ。
「悪ぃ悪ぃ、不躾だった。
ま、いいんじゃねぇの、俺も魔法使えるし」
「魔法っ？！」
キラキラと目が輝く。
……お前ルフィと同じ目だぞそれ。
「ん、ホラ」
パチンと指を鳴らす。
酸素濃度高めの青い炎。
「わぁ……！！！お前、すげぇな！！！」
キラキラキラ。
なんか眩しい気がしてきた。
なんか距離が1mくらいに縮まってるし。
どうしたよお前。
「んーでも、
一般人は魔法なんて使えないわけだし。
普通じゃない仲間だな」
ぽん、と頭に手を置いてやる。
どうしようこの子可愛すぎるペットに欲しい。
「…………………………
俺、悪魔の実を食べたんだ」
ぽそ、とチョッパーは口にした。
あぁ、なるほど。
俺はすぐに合点が行った。
トナカイが人語を話すなんて
どんだけ知能高いんだよと驚いたが、
よくよく見ればチョッパーは二足歩行。
俺たち人間もあくまで動物なのだから、
恐らくゾオン系の悪魔の実だろう。
元トナカイが二足歩行になったら
そりゃさぞかし色々あったろうな。
感応者というレッテルは、
島では絶対に剥がせない枷のようなもので。
「じゃあそのおかげで
俺と今日話せたんだから感謝だな」
「何様だお前」
「がーん」
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作者名：夢主を可哀想な目に合わせるのが好きなN | 作成日時：2020年5月15日 23時
