3話 ページ5
「なるほどねぇ」
俺はサンジと名乗った金髪にわけを聞いて、
そりゃ大変なこった。
と返しておく。
見るに、
ルフィに背負われたナミという女は、
息もあらければ顔も赤い。
発熱は尋常ではない様だ。
「……グランドライン前半の
気候による発熱にしちゃ酷いな……
ドラムロッキーを登るってんなら
行先は同じだし、手伝うよ。
実質1人じゃきついだろ」
サンジにそう伝えると、
彼は曖昧に頷く。
お前強いのか、と。
「っ、なんだよ、！
俺が魔法使いってのが気に食わないのか！」
自分で魔法使い、
と言っておいて酷く顔が赤くなるのが分かる。
いい歳して魔法使い、
なんてワードを言うのは
尋常じゃなく恥ずかしいのだ。
「お前、ほんとに魔法使いなのかァ？！」
キラキラと輝く目を向けてくるルフィ。
「んなわけねぇだろ……」
とつぶやくサンジ。
まぁそうだよなあ……と
俺は独りごちた。
普段ならまず
自分が魔法使いだなんてばらさないし、
ばらさないからそんな疑念を抱かれることも無い。
のだが。
嘘だ。
と言われるのもそれはそれでなにか悔しい訳で。
「本物も本物。
純血じゃねェけどな」
パチン！
と指を鳴らす。
火はまずいから氷でいいか。
環境が寒いからちょうどいいや。と。
ちょうど向かってきていた
うさぎゴリラの足元を凍らせれば、
飛びかかろうとしてきた体勢のまま氷漬けになる。
「す、すっげぇーーーー！！！！！」
「まじかよ……」
キラッキラの目だな、ルフィよ。
ポロリと落ちたサンジのタバコを見て、
俺は少しいい気になる。
いやぁまぁ正直ただの珍獣だけどな。魔法使い。
「な？魔法使い(笑)、だろ」
「おいハク！！
お前、俺と一緒に海賊やろう！！！」
変わらない輝かんばかりの瞳を向けられ、
いやお前海賊なのか。
と言おうとした時だった。
何やらうさぎゴリラが頂上で飛び始める。
「何やってんだあいつら……」
「俺たちを
追っかけてくんのやめたと思ったら……」
「……おいまさか……」
ひく、と顔がひきつるのがわかった。
「「雪崩が来るぞォ！！！！」」
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作者名：夢主を可哀想な目に合わせるのが好きなN | 作成日時：2020年5月15日 23時
