13話 ページ15
「俺はもういいだろ……」
「まだ金を貰ってないよ」
「有り金なんてものは無い。
残念ながら無一文だ」
「…………なら体でもうるかい？？？
臓器なら高く買ってやるよ」
「悪徳じゃねぇかほんとに医者か？？」
バチバチ。
凍死の治療代だなんて言われても、
本当に無一文なのである。
ナミは何だか武器庫の鍵をスったとかで、
ただにしてもらっていた。
羨ましい。
なんかあるかなぁ。
売れるものなんて金髪くらいだけど……
切ったからもう残りはないし……
カバンと拳銃は論外。
あれは置いてなきゃ行けねぇ。
耳についてるピアスは値打ちになんてならない
イミテーションの宝石。
「まじで文無しだぜ……」
臓器売るなんて冗談じゃないし、
どうにかして逃げ出すか。
なんて算段を立てていた時だった。
「そういえば、
ドクトリーヌ？
宝石なんてのはどうだよ」
「文無しに宝石なんてあるのかい？
その耳飾りだって言うなら耳ご貰うことになるよ」
「違う違う」
俺は顔の前で手を振って。
やべぇよ目がまじだぜほんとに。
「本当は禁忌なんだけどな〜
出奔中の身だから、1回くらいはいいだろ」
そう言って俺は外に出る。
外にはルフィと緑髪、あとは長鼻が居た。
特に話すこともないので無視して雪をどける。
……しつこい雪だな。溶かすか。
パチンと指を鳴らす。
これはまぁなんか本当は詠唱しないと行けない分を、
無理やり動作で短縮する感じだ。
雑だから弱いし小さいのしか作れないけど、
日常生活はこれで十分。
5センチほどの半径に地面を露出させると
親指の皮をかみきって血を垂らす。
「何してんだ？」
と長鼻がよってきた。
「また魔法かぁ？！」
とルフィ。
無言だが緑髪もいるようだった。
……見られると気まずいんだが。
俺はそう思いながら「錬金」と唱える。
血が染み込んだ部分がボロ、と取れ、
空中で静止した。
宝石と言ってもこの土地だ。
在り来りな炭素しかねぇよな。
と俺は素材を見ながら考える。
炭素からならダイヤモンドが作れるはずなので、
ダイヤモンドの構成に石を書き換えていく。
本来なら長年かけて行われるはずの生成を、
魔力で補って形成し、
安定するように魔法で固定。
生じる無駄な物質を灰に変えて、
最後に術式を固定して。
「ふぅ」
魔法を受けて輝いていたダイヤモンドが
ただのダイヤモンドになる。
「詐欺だ……」
「ナミが喜びそうだな！！」
「…………そうかよ」
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作者名：夢主を可哀想な目に合わせるのが好きなN | 作成日時：2020年5月15日 23時
