9話 ページ11
チョッパーが出ていって少し。
ワーワーギャーギャーと隣の部屋で叫び声がして、
バァン！！
という音と共に声が遠ざかって行った。
そういえば、
ナミは無事なんだろうかと興味が出てきて、
隣の部屋に顔を出してみる。
「……あなたがルフィが言ってた？」
「お、熱下がってんじゃんか」
ケロリとした顔で尋ねてくる姿に、
ルフィも頑張った甲斐があるもんだなぁと思う。
「あァ、俺はハク。
おたくナミって名前らしいな。
サンジがナミさんナミさん言ってたぜ」
サンジくん……
とナミは頭に手を当てて。
「裸で寝てたって聞いたわ。
……まぁお世話になったみたいだし、
ありがとう」
「裸じゃねぇよ！！！」
噂に尾ひれが着くとは言うけれど、
それはさすがに着きすぎだと思う。
「あー別に特に何もしてないから気にすんな。
俺もここの医者に用があったんだが……」
あれは違うな。
その言葉は口には出さず飲み込んでおく。
島で育った人間は外部との関わりがないからか、
何となく雰囲気というものがある。
あぁ同族か、なんて感じるものがあるというか。
あのばあさんはただの長寿の方。
……まぁそれにしたって生きすぎな気もするが。
あれこそほんとに魔女だぜ。
ぴゅう、と風が吹き込む。
「寒い！閉めなきゃ」
そう言ってベッドを立つナミ。
「あぁ待て俺が」
そう言おうとすると、
「寝てろよちゃんと！！」
とチョッパーが声をかけた。
医学的用語はよく分からないが、
どうやらあの医者の薬で熱は下がっているものの、
最近は体に残っているということで。
バタンと扉を閉めるチョッパー。
「ありがとう、
あんたが看病してくれたんでしょ？」
その姿にナミがそう言うと、
チョッパーはきもちわる
ｺﾎﾝ、可愛らしく小躍りした。
「感情が隠せないタイプなのね」
「踊るな踊るな」
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「お前ら海賊なのか」
おもむろにチョッパーはそう尋ねる。
「ええ」
「本物か？……！！」
「本物よ」
俺は違うぞ。
割り込むべきではないかと心の中で発言して、
チョッパーは海賊になりたいのかぁと独りごちた。
ねぇよ！！！ばか！！！
と慌てて本棚にぶつかりに行くチョッパーに、
ナミは
「でもじゃあ、あんたも来る？」
と誘っていて。
いいメンバーだなぁと
ニシシとよく笑う麦わら帽子を思い出す。
あれが船長だと言っていた。
サンジも良い奴だ。
そしてナミも。
………………海賊ねぇ。
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作者名：夢主を可哀想な目に合わせるのが好きなN | 作成日時：2020年5月15日 23時
