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「香里ちゃん。」




太宰さんの声。私は仕事を中断して振り返る





『どうされました?太宰さん。』


「いやぁ実は、敦君の居た孤児院。判る?」

『はい。判りますけど……』

「そこの院長の経歴について調べてほしい。香里ちゃんならできる」

『当たり前ですよ。30分以内に其方にデータを送ります。』


「じゃあ私はマフィアに情報提供を頼んでくるよ。宜しくね」




そう云って出かけて行った太宰さん。まぁ太宰さんならマフィアに殺される心配はないか。




私はまた、パソコンの方に振り返り、太宰さんの欲しい情報を纏めていく






その院長の人生は過酷なものだった。




敦くんと同じ孤児院の出身で、苛烈きわまる暴力と恐怖に支配されていた


その人は同じ孤児院出身の五人と黒社会で下働きを始めるが時は戦乱末期。仲間は次々と死に____其の院長先生だけが生き残った。






可哀相な人だ。




人は理不尽への怒り。それが人を生存させる。そう思ったまま亡くなってしまったのだから。








私はパソコンに涙を滴らせないよう拭き取り、太宰さん宛のメッセージに院長の経歴書を添付して送信する










敦くんは、どう思うのだろうか。そう考えた____________

3→←父の肖像



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作者名:ペネロッペ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Mayakaahah/  
作成日時:2022年10月5日 11時

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