歪んだ僕の愛し方。

女友達 ページ26

ジスの行くところは高級店ばかりで、本当に彼はお金持ちなんだということを自覚する。





「ね、何がいいと思う？」




「うーん。この服とかどう？」




「え。A、センスなさすぎ」




「そうかな？このハンドクリームとかどう？いい匂い」




「そういうの、いっぱい持ってるからいらない」




「あっそう。じゃあ、この靴は？」




「こういうの嫌いなんだよ、母さん」






なんなんだこいつ。




人の意見なんて聞いちゃいねえ。





私のセンスが悪いにしても、全否定されるとはさすがに私でも心折れるよ。






「あ、バブルティーだ…」






ジスが結局自分で選んだプレゼントを買っている間、私は子供が持っているバブルティーを眺めていた。






「買ってあげよっか」





そう笑ったジスは、私にバブルティーを奢ってくれた。





「はい、どーぞ」




「ありがとう」





美味しくて思わず笑みがこぼれた。





「……こんなことなら脅すんじゃなくて、普通に買い物行こうって誘ってくれたらよかったのに」




「普通に誘ってくれたら、Aは来てくれたの？好きでもない男のために」





そんなことを言うジスは、少しひねくれてると思った。





「行ったよ。当たり前じゃん」





そう言う私を、ジスは驚いたように見つめた。





「なんでそんなに驚いてんの」




「だって、嫌でしょう、女の子って。好きでもない男と、デートみたいなことするの」





「あのね、ジス。世の中にはあなたを恋愛対象として見てる女の子だけじゃないんだよ。


友達っていう部類の女の子もいるの、知らないの？」






「……その発想は無かった」






真面目に答えるジスが面白くて仕方ない。




きっと、ジスは女の子に色恋の目ばかり向けられてきたんだろうなって思った。






「ただ、気を使うことなく自然にいられる関係の女の子が欲しかった。たぶん、それを女友達って言うんだろうね」






ってジスが言うから、彼はただ単純に女友達が欲しかっただけなんだと思った。







「Aにもいるの？男友達」





「うん、まあ。幼馴染が一人」





「幼馴染？」





「ずっと一緒だったから家族みたいなもんだよ」





「ふうん。幼馴染に恋愛感情とか持ったりしないの？」





「ないないない。今更ありえないよ」





「へえ。難しいね、男と女って」

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