himeyuri. 2 (ページ44)

今日:14 hit、昨日:55 hit、合計:215,279 hit

. ページ44

.

その日久しぶりに夢を見た

暗闇の中で家族も数少ない友達も、メンバーもみんな私を見て微笑んだと思ったら背を向けて遠ざかっていく。
手を伸ばしてもどれだけ叫んでも誰も振り返ることなく戻ることも無く深い深い闇に落ちていく

そんな夢

「……はっ、またか、、」

同じ夢を見るのはこれが初めてじゃない
'' あの頃 '' は毎日のようにみていた。

最近はそのことも忘れるぐらいだったのに久しぶりに見たこの夢のせいであの頃の自分を思い出してしまった

時計を見ると午前8:00

水を飲みに行こうとキッチンに向かった

静寂に包まれた部屋を見回す

キッチンに置いてあったそれぞれの食器、
タロヒョンとよく座って映画もテレビも観たり部屋に戻らずに肩を並べて朝まで寝落ちしたソファ、
ソンチャンがお気に入りだと自慢してリビングの壁に掛けてあった絵画、
みんなでご飯を作って楽しく食事をしたテーブル。

そして、、

私の作るご飯を美味しいと言ってくれたタロヒョンとソンチャンはもう、この宿舎には居ない。

二人との思い出の品はもう全て二人がこの宿舎を出ていくと同時に居なくなってしまった

3人で〖指切りげんまん〗をしたあの日から、事務所からの指示で宿舎を分けられたのは、一週間も経たない頃だった

もちろん連絡は取ってるしダンスの練習だって一緒にする。でも宿舎に帰れば二人は居ないしエリオンニもマネヒョンも日付が変わるまで帰ってこないため、この宿舎には基本ひとりで過ごす

前までは一人暮らしに憧れていたけどみんなでワイワイ過ごすほうが圧倒的に楽しくて今じゃこの生活も息苦しい

「頑張らないと…」

NCTのみんながカムバに向けて色々準備している中で、私たち三人も動き出す

仕事はものすごく順調に見えていた

………はずだった

.