希望、それは戯言 (ページ35)

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未知数ページ35

大体撒けたかと息を整えていると、頭上から強烈な殺気を感じた。間一髪で避けれたが、疲労を感じている体でこいつに勝てるか。

でっかい金棒みたいなものを振り回しながら近づいてきた。月の光に照らされているからか、恐怖心が増す。

「お前があの強い奴か。」
「は？何それ。」

そのまま高らかに笑ったと思えば、金棒を振りかざしてきた。生憎護衛用のナイフしかない。こんなんじゃ受け止めきれない。潰されて終わるだけ。それに、あの棘みたいなのが余計に厄介だ。

「ははっ！避けてるだけじゃ何にもなんないぞ！！」
「っうるせえ奴」

分かってるくせに煽るような言葉を。だが、どんどん体力は削られていく。息も荒くなってきた。これでは、時間の問題。一か八か。賭けてみる価値は…ある。

「ふはは！とうとう諦めたか！」

避ける事をやめ、壁の前に立つ。後ろの建物はどうやら廃墟らしい。なら、いっか。考えもなく突っ走ってくる。見事に作戦通りに動いてくれて助かる。

「死ねぇ！」
「…そっちがな。」

俺の体に目掛けて金棒を真っ直ぐ向けてきたのを交わす。まるで小型ナイフでとどめを刺そうとするみたいだ。もっと武器にあった戦い方をするべきだったな。随分全速力で走っていたからか、すぐに切り返すことが出来ず、そのまま壁を壊して中に入っていった。大きい武器を持っていればその分俊敏差に欠ける。

しかも、金棒の部分しか壊れてないせいで、他は思いっきり壁にぶつかっている。おかげで頭から血を流しながら気絶している。未知の武器のおかげで体力消耗が激しいが、上手くいった。最期に心臓を一突きして息の根を止める。

「まだ終わってないぞ。」
「っ、あ゛」

声がした瞬間振り返るが遅かった。腹に貫いた剣がやけに強く光っていた。どうして、気配を全く感じなかった。

「最後の最後まで気を抜くな。この世界の常識だろ？」
「っは、常識ね。」

剣を勢いよく抜かれて、血がどんどん流れていく。その内出血死してしまうだろう。死ぬ事に抗えない。気持ちがいい。

「つい最近来たやつが語ってんじゃねえよ。」
「そのつい最近来たやつにやられてるのは誰だろな。」

日本刀に対して小型ナイフ。結末はわかっている。ならせめて、もう少し死ぬ事に抗えない感覚を味わいたい。

「…まだ戦うか。さっさと居場所を吐けば殺さずにいてやる。」
「へえ、慈悲のつもり？そういうの大っ嫌い。」

どんどん血の気がなくなってくる感覚がする。避ける度に血が溢れだしている。死ぬ。もうすぐ。