希望、それは戯言 (ページ28)

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ベットに寝かされる。岩本はそのまま出ていった。周りからの視線が突き刺さる。

fk「いい？今の目黒は体調が悪いの。1人で何とかするの禁止。」
sk「そうだぞ。」

だからといって部屋に3人も見張りが来るというのは如何なものか。

fk「…そろそろ甘えな。1人で何でもしようとしないでさ。」

その言葉が耳にすっと入ってきた。何それ。甘える？そんなの知らない。やり方が分からない。

sk「もう十分だよ。頑張ったから。常に神経使わなくていいよ。」

こうでもしないと落ち着かない。これが普段の俺だった。…時々楽になりたいと思うのは、神経を使っているから？

nb「…自分不幸ですってアピールして楽しいか。」
fk「翔太。」

不幸ですアピール？…そうかもしれないな。でも、それがなんだって言うんだ。起き上がって、目を見て話す。

「ああ、そうだよ。不幸ですアピールして何が悪い。そしたら皆離れてく。可哀想だねって同情しかしないんだ。心底笑えてくる。」
nb「笑えもしないのにか？」
「………」
nb「笑い方忘れてるくせに笑えるとかもっとねえのかよ。」
sk「もうやめなよ。」

変なところついてくるやつ。笑い方なんて手放した瞬間忘れた。口角を上げるだけだと思っても、鏡に映る自分を見て何かが違った。

nb「…苦しい、助けてって思わねえのかよ。」
「そんな感情、とっくの昔に捨ててきた。そんなもの必要なかった。」

事実だ。どれだけ思ったって結局どうにもならないなら捨てた方が生きやすい。…あれ？

fk「捨てなくていいんだよ。遠慮なく口にしていいんだよ。助けてくれって。そしたら俺らいつでも飛んでくよ。」

何それ。そんな戯言、信じられるわけがない。今までだってずっとそうだったのに。

sk「必要ないとか言わないで。自分をもっと大事にしてあげて。」

そんな事したってまた元通りなんだからする必要ない。

nb「何を全部諦めてんだよ。もっと欲に正直になれよ。」

欲に正直に？そんな事出来たらどれだけ…

「…全部諦めなきゃ生きられなかったんだよ。押し殺して、壊して、そうでなきゃ、そうしなくちゃ！」
fk「うん。」
「自分が自分でなくなる気がした。1人で歩くことすらままならない気がした。全部を振り切れるほど強くなれなかったから…」

怖くて堪らなかった。俺が少しでも間違えれば、親が荒れ狂って。先生は見損なったような顔をして。友達は俺を見捨てて。

こんな状況から抜け出せるなら何でもよかった。抜け出せるのが、死しかなかったから。それしか何もなかったから。