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だるいなあ、と文句を言いながらもピアノ線を切っていく大野。
「普段のアレボルとはまったく違うの？」
「違う。こんなことしてたらアレボルの大半の客は入ってこれない。俺らみたいな戦闘員の客はほぼいないんだから」
大野より前に出ないようにしながら櫻井と松本もついていく。
硬くて切るのも大変だからか、すべてを切っているわけではないらしい。
大野が通っていくのを見て、その動きをなぞるようにして廊下を歩いていた。
「ってことは誰かが仕掛けた？」
「だろうね、こんなのが勝手にできあがってましたなんて言われても信用できるかって。蜘蛛の巣じゃねえんだぞ」
「そりゃそうだ」
二人は苦笑した。
暗闇での訓練を思い出す、と大野はぼやきながらも廊下を抜け切った。
「もうすでにアレボルは落ちてると考えた方がいいだろうな」
いい？ と廊下を抜けた櫻井と松本にも確認をする。
「どうぞ」
「いつでも」
ドアをそっと開ける。
中は真っ暗だ。
顔をしかめた大野は、ポケットから何かを取り出す。
ライターも取り出してそれに火をつけると、ぽいと中に放り投げた。
またドアを閉めた大野。
「何投げたの？」
大野の返事を聞く前に正体は分かった。
中から大きな音が聞こえてきたからだ。
「爆竹か」
「そう」
混乱させるにはちょうどいいからね、と言って中の様子を伺っている。
バタバタと聞こえる足音。
やはり暗闇の中には人がいたらしい。
「櫻井、煙幕持ってる？」
「持ってる」
櫻井はポケットから発煙弾を取り出す。
「中に入れてくれない？ 視界は悪くなるけど二人とも平気？」
「それは平気」
「うん、大丈夫。じゃ、投げるよ」
安全レバーを引いて投げ入れた櫻井。
赤色の煙が上がり、部屋の中に充満する。
その様子を伺いながら、大野は部屋の中を見回した。
“Who is it? Is there more than one?”
そんな声が聞こえてきて、櫻井はハッとする。
「誰だって聞いてきてる男の人がいる。複数人か？ って」
「そちらこそ誰だって聞き返して。人間かって」
「分かった」
息を吸い込んだ櫻井。
“You too. Are you human?”
“That voice... could it be Sakurai? We met here before.”
“Have we met before? So you are Dominic?”
“Yes.”
大野の顔を見た櫻井。
「何だって？」
「声をかけてきたのはドミニクだ。前に会ったことがある人だよ」
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翔成(プロフ) - 再開、待ってました！新しいお話の更新、楽しみにしてます！ (2022年9月3日 3時) (
レス) @page16 id: df0fa1ba00 (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - 折角なんで一から読み返して来ました。楽しかった〜♪ (2022年9月2日 17時) (レス) @page16 id: 2c77e9de22 (このIDを非表示/違反報告)
Kar(プロフ) - 嬉しいです(ृ´͈ ᵕ `͈ ृ ) 更新をのんびりお待ちしております！ (2022年8月30日 19時) (レス) @page15 id: 85f86a18df (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - おかえりなさい♪ (2022年8月30日 18時) (レス) @page15 id: 2c77e9de22 (このIDを非表示/違反報告)
ちろる - ちょいと寂しいけど、長い間ありがとうございました！良い人生を！ (2021年10月25日 0時) (レス) id: c48e44e08a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2021年8月11日 8時
