283. ページ33
「じゃあ雹隊の他の隊員は？ 戦闘員とか非戦闘員とか」
んー、と顔をしかめて思い出そうとする大野。
「他の隊員はたまに見かけてたけど。あれ、ニノは見てないの？」
「見てない。俺がいるときには雹隊の他の隊員はいない」
何の話をしているのか分からず、黙って大野と二宮を見る四人。
「大野さん。アレボルで雹隊の情報を漏らしてるやつがいたとは考えられない？ 特に特殊戦闘員の情報を」
「雹隊の情報を？」
どうだろうな、と大野は苦い顔をしている。
「大野さんは雹隊の特殊戦闘員の話なんてしてないでしょ？」
「しねえよそんなの。部隊の人数ですらはぐらかしてるのに、特殊戦闘員が何人かとか誰が特殊戦闘員なのかとか」
そこまで言って、大野の言葉が止まった。
大野が黙って櫻井の顔を見る。
「まさか」
「え、何？ 俺の顔見てどうした？」
櫻井は戸惑いの表情を浮かべる。
二宮も不審そうな顔で大野を見ている。
「翔さんは一回しか行ってないでしょ」
「いや、翔くんじゃないよ。違う」
しばらく考えていたが、大野が二宮に目を向けた。
「ニノ。野村の外出許可履歴を調べてくれない？」
「……野村さん？ すぐ出てくると思うよ、ちょっと待って」
本来なら隊員が見れるものではないが、二宮なら権限がある。
パソコンに向かった二宮を、渋い顔で見ている大野。
「大野さん。もしかして、野村さんを疑ってるの？」
不安そうな松本の声。
相葉もじっと大野のことを見ている。
野村のことはよく知っている。
何より、大野が一番野村のことを知っていたのだ。
「その……野村って方は誰ですか？」
柳谷の声にはっとした大野。
「そうだよね、柳谷ちゃんは知らないよね。雹隊にいた人だよ。ちょっと前に部隊を辞めていった。元雹隊十八班だった人」
「よく知ってる人だったんですか？」
「まあね。俺の先輩でもあったから」
出てきたよ、と紙を印刷する二宮。
「これが一覧。提出日時と外出日時、場所もあるけど、場所は正直あてにならないと思う」
「ありがとう。あとさ、俺の外出許可履歴一覧も出してくれない？」
「分かった」
再びパソコンに向かった二宮。
大野は紙を見て、苦い顔をしている。
「なんか嫌な予感するな」
この日にちの飛び方、と呟いている。
「はい。これがあなたの」
「ありがとう」
二宮から受け取った紙を、二枚並べて机の上に置く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 548人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翔成(プロフ) - 再開、待ってました！新しいお話の更新、楽しみにしてます！ (2022年9月3日 3時) (
レス) @page16 id: df0fa1ba00 (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - 折角なんで一から読み返して来ました。楽しかった〜♪ (2022年9月2日 17時) (レス) @page16 id: 2c77e9de22 (このIDを非表示/違反報告)
Kar(プロフ) - 嬉しいです(ृ´͈ ᵕ `͈ ृ ) 更新をのんびりお待ちしております！ (2022年8月30日 19時) (レス) @page15 id: 85f86a18df (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - おかえりなさい♪ (2022年8月30日 18時) (レス) @page15 id: 2c77e9de22 (このIDを非表示/違反報告)
ちろる - ちょいと寂しいけど、長い間ありがとうございました！良い人生を！ (2021年10月25日 0時) (レス) id: c48e44e08a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2021年8月11日 8時
