279. ページ29
んもう、と怒りながらメールを開いていく二宮。
「本当に、次はないと思えよ。件名を書かないと大変なんだから」
『承知した』
大野も念のためメールを確認する。
確かに、雲隊関連のメールが多く届いている。
この中から探すのは大変だ。
『雹隊柴田、通信に入った』
「あ、隊長だ」
相葉が呟く。
戦闘員も解散したのだろう。
『了解。事情の説明は二宮からメールを転送してもらってくれ』
「は？」
通信を聞いて二宮が顔をしかめる。
パソコンの画面を見たまま、マイクに手をかけた。
「現在霖隊佐藤との通信処理中です。雹隊柴田への連絡はそちらで行ってください」
相手はおそらく、国の役人なのだろう。
苦言を呈しながらも、二宮は敬語を崩していない。
『メールの転送もできない状態なのか』
「今はメールを探してる途中なんですけど。これで転送して更新なんてしたら余計に分からなくなります」
このドアホが、とマイクを通さずに言う二宮。
あはは、と苦笑した櫻井以外の四人。
『承知した。こちらから送る』
当然だろうが、と悪態をついている二宮のことは放っておいて、大野もメールを確認していく。
「あれ」
レクアの店主、中学の同級生からメールが届いている。
内容を読んで、大野は顔をしかめる。
「ニノ」
「なに？」
二宮は目当てのメールを見つけたらしく、内容を確認していた。
「アレボルの動きも怪しいらしい」
「アレボルって……マスターに何かあったの？」
振り返った二宮。
アレボルは、他国の諜報機関の人と情報交換する場所に使っている、あの店の名前だ。
「らしい。レクアから連絡が来た。アレボルに出入りしてる元隊員たちが、揃って『今のアレボルには行かない方がいい』って言ってるらしい。レクアに出入りしてる人にはアレボルに行くなって通達してるレベル」
「何があったんだか」
「確認しに行く？」
大野の言葉に、二宮が唸る。
「スピリットと関係あるかな」
「あると思ったから、レクアも連絡寄越してきたんだと思うけど」
「でも行かない方がいいって言ってるのに、行こうとするあなたもどうなってるのよ」
「まあね」
二宮が返事をしないうちに、大野はもう出かける準備をしている。
「行くのはいいけど、俺がこのファントムのメールを読み終わってからにして。厄介そうだから」
「分かったよ」
じっと様子を見ていた松本が、出かける準備を始めた。
「俺も行くよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 548人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翔成(プロフ) - 再開、待ってました！新しいお話の更新、楽しみにしてます！ (2022年9月3日 3時) (
レス) @page16 id: df0fa1ba00 (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - 折角なんで一から読み返して来ました。楽しかった〜♪ (2022年9月2日 17時) (レス) @page16 id: 2c77e9de22 (このIDを非表示/違反報告)
Kar(プロフ) - 嬉しいです(ृ´͈ ᵕ `͈ ृ ) 更新をのんびりお待ちしております！ (2022年8月30日 19時) (レス) @page15 id: 85f86a18df (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - おかえりなさい♪ (2022年8月30日 18時) (レス) @page15 id: 2c77e9de22 (このIDを非表示/違反報告)
ちろる - ちょいと寂しいけど、長い間ありがとうございました！良い人生を！ (2021年10月25日 0時) (レス) id: c48e44e08a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2021年8月11日 8時
