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「準備中」と札が出ているお店の、従業員用路を大野はどんどん進んでいく。
裏口らしきドアの前にたどり着いて、大野は振り返った。
「翔くん、ここのドアの番号覚えてね。7282」
「7282？」
「うん」
そう言って、大野は暗証番号を打ち込んでいく。
ピピっと音が鳴って、ドアのロックが解除される音が聞こえた。
考えてみれば、部隊の部屋のロックと似ている。
「何で7282？」
「さあ？ 決めたの俺じゃないもん。俺は『なにやつ』で覚えてるけど」
なにやつ、と口の中で繰り返した櫻井。
番号を決めた人も、その語呂で決めたのではないだろうか。
「ほら、行くよ翔くん」
「あ、うん」
ドアを開けた大野に、慌ててついていく櫻井。
ここで置いていかれては困ってしまう。
大野の後を追いながら建物の構造も把握していると、店の空間らしき場所に出た。
内装はカフェのようだ。
それでもカフェとして営業しているわけではない、ということもすぐに分かった。
それなりの人数がいる店内を、どんどん歩いていく大野。
櫻井は大野に遅れないように必死だ。
周囲の人間は談笑しているように見えながら、こちらをじっと見ている。
大野ではなく櫻井の方を気にしているのも、櫻井は感じ取った。
大野は隅にいた男に近寄っていく。
「大野。情報の受け渡しがあるから来た、聞いてる？」
「あぁ、話は聞いてる。で、そっちは？」
じっと櫻井の顔を見た男。
櫻井は男の顔を見て、目を見開いた。
頬に大きな傷がある。
ナイフか何かでえぐられたのか、というほどの傷だ。
「あ、櫻井といいます」
少々うろたえながらも答えた櫻井。
「櫻井、と。聞いたことはないな」
「うん、初めて来るからね。櫻井は俺の部下。二宮と同僚だよ」
へえ、と男が意外そうな目をして櫻井を見る。
「大野の部下で二宮の同僚か。それなら信用できるが……どうして急に新しい人を連れてきた？」
「二宮の代わりだよ。二宮がどうしても来れないから、櫻井に代わってもらったんだ」
俺一人だと面倒臭いことになりそうだし、と小さな声で続けた大野。
大野が周囲を警戒しているのが伝わってくる。
「前に言ってたアレか。今日はまだいないみたいだから、早めに終わらせることだな」
「そうするよ」
男も周囲を見回して頷いた。
「櫻井、か。覚えておくよ。俺は川嶋だ」
「川嶋さんですね。分かりました」
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翔成(プロフ) - 再開、待ってました！新しいお話の更新、楽しみにしてます！ (2022年9月3日 3時) (
レス) @page16 id: df0fa1ba00 (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - 折角なんで一から読み返して来ました。楽しかった〜♪ (2022年9月2日 17時) (レス) @page16 id: 2c77e9de22 (このIDを非表示/違反報告)
Kar(プロフ) - 嬉しいです(ृ´͈ ᵕ `͈ ृ ) 更新をのんびりお待ちしております！ (2022年8月30日 19時) (レス) @page15 id: 85f86a18df (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - おかえりなさい♪ (2022年8月30日 18時) (レス) @page15 id: 2c77e9de22 (このIDを非表示/違反報告)
ちろる - ちょいと寂しいけど、長い間ありがとうございました！良い人生を！ (2021年10月25日 0時) (レス) id: c48e44e08a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2021年8月11日 8時
