265. ページ15
「スピリットはAIなんじゃないかって？」
「そう」
うーん、と考え込んだ二宮。
深夜の隊長部屋。
二宮と大野、そして櫻井がこの部屋にいた。
部屋の持ち主は不在だ。
「でもそれにしたって、どこかでAIを開発した人はいるでしょ。結局その人を見つけなきゃどうにもならないんだから」
櫻井も腕を組んで唸る。
「AIの暴走なんじゃないか、って考えてる人たちもいるみたいだったけど」
「暴走？ まさか。暴走であそこまでのことをやらかすなら、相当高度な人工知能ってことになるけど」
昼間にした情報交換の報告だ。
雹隊隊長の柴田からは、好きに部屋を使っていいと許可が出ている。
鍵はかかっているのだが、大野も二宮も部屋の番号は知っているため、ないようなものだった。
「世界規模でのインターネットの切断をAIが独断でやったって？ そんなことあり得るのかな」
「独断じゃなかったら、誰かが意図して起こしたってことになるよ」
「……そっちの方がまだ納得できるわ。大野さんはどう思う？」
顔を上げた二宮。
大野は数回瞬きして、「どうだかねえ」と肩をすくめた。
「俺はそういうのわかんないから」
「じゃあ大野さん。スピリットがわざわざ世界中の人を混乱させて、いろんなところに指示を出してテロ紛いなことをさせる理由は何？」
二宮の言葉に顔をしかめた大野。
「そんな、テロ紛いって」
「これ、本当のことだからね。この国では起こってないだけで、他国ではスピリットを名乗る組織があちこちでテロを起こしたり未遂に終わったりしてる」
「このままだとこの国も他人事じゃないからね」と言う二宮の真剣な目に、うっと詰まった大野。
「俺、そんな規模の事件に関わりたくねえよ」
「仕方ないでしょ、あなたは雲隊の人間なんだから」
「だから嫌なんだよ雲隊は」
「だとしても雹隊の人間でしょうが。雹隊は本来国際業務にも関わる部隊なんだから当然でしょ。ちょっとは考えなさいよ」
えぇー、と文句を言いながらも腕を組んだ大野。
「事件を起こす一番簡単な動機は復讐でしょ」
「AIが？」
「それは知らないよ。一般論の話」
今の社会に不満でもあるんでしょ、と肩をすくめた。
「だとしても面倒なことしてくれますよね」
「それが目的なんでしょ。部隊をなくしたかったりして」
顔を見合わせた二宮と櫻井。
「……何のために？」
「いや知らないよ。俺はスピリットじゃないんだから。思ったこと言ってるだけ」
大野は苦笑して、椅子に座った。
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翔成(プロフ) - 再開、待ってました！新しいお話の更新、楽しみにしてます！ (2022年9月3日 3時) (
レス) @page16 id: df0fa1ba00 (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - 折角なんで一から読み返して来ました。楽しかった〜♪ (2022年9月2日 17時) (レス) @page16 id: 2c77e9de22 (このIDを非表示/違反報告)
Kar(プロフ) - 嬉しいです(ृ´͈ ᵕ `͈ ृ ) 更新をのんびりお待ちしております！ (2022年8月30日 19時) (レス) @page15 id: 85f86a18df (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - おかえりなさい♪ (2022年8月30日 18時) (レス) @page15 id: 2c77e9de22 (このIDを非表示/違反報告)
ちろる - ちょいと寂しいけど、長い間ありがとうございました！良い人生を！ (2021年10月25日 0時) (レス) id: c48e44e08a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2021年8月11日 8時
