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咳がやっと止まってから、二宮は咳払いをする。
「俺は相葉さんが非戦闘員の仕事を覚える必要はないと思ってる。そりゃ、手伝ってくれたらありがたいけど、思い詰めるようなことじゃないよ」
「そっか」
呟いた相葉。
納得はいってなさそうな相葉の顔に、また二宮は苦笑した。
「なんであなたはそう自信がないの」
「だって」
その先を待っていたものの、相葉は黙り込んでしまった。
「だって？」
そう促すと、相葉は言いにくそうに口を開いた。
「……みんな、すごい人だから。俺よりもすごい人ばっかり。ニノだって」
はあ、とため息をついた相葉の顔が消える。
相葉が横になるのが気配で分かった。
「俺は、パートナーも守れなかった人だよ」
二宮は黙って視線を上に向けた。
見えるのは二段ベッドの床だけ。
それでも、相葉がどんな表情で寝転がっているのかは想像がついた。
「……雅紀は強いよ。雅紀だってすごい人なんだから、大丈夫」
二宮はそうとしか言えなくなって、黙り込んだ。
相葉からの返事はない。
二宮が相葉と出会った頃から、相葉は不安定な部分があった。
明るい性格で誰にでも好かれるような振る舞いをしていたが、不安そうな表情を見せて押し黙ることは昔からあったのだ。
二宮もそれには早い段階から気づいていたし、上手く付き合っていたのだが、あの事故をきっかけにして相葉はさらに不安定になった。
その原因が他でもない二宮自身にあったことも、二宮は承知している。
以前はお互いに依存しすぎていたのだ。
大野が班のパートナーを変更した理由を、相葉も二宮も理解している。
あのまま相葉と二宮がパートナーを組み続けていたら、それこそ戻れないところまでいってしまっていたかもしれない。
度を超えたパートナー意識は、お互いの命を危険に晒すことになる。
「ごめんね、和。こんなこと言うつもりじゃなかったのに」
苦い顔になった二宮は、パソコンに目を落とす。
「いいんだよ、俺こそごめん」
ふとした瞬間に、脳裏をかすめると言っていた。
もし、二宮が死んだら自分はどうしていたのか、と。
そこまで相葉を思いつめさせた、自分自身も憎い。
相葉がこういう人間だ、と分かっていたのに。
「無力だな」
相葉には聞こえない声量で呟いて、二宮は小さくため息をついた。
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翔成(プロフ) - 再開、待ってました！新しいお話の更新、楽しみにしてます！ (2022年9月3日 3時) (
レス) @page16 id: df0fa1ba00 (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - 折角なんで一から読み返して来ました。楽しかった〜♪ (2022年9月2日 17時) (レス) @page16 id: 2c77e9de22 (このIDを非表示/違反報告)
Kar(プロフ) - 嬉しいです(ृ´͈ ᵕ `͈ ृ ) 更新をのんびりお待ちしております！ (2022年8月30日 19時) (レス) @page15 id: 85f86a18df (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - おかえりなさい♪ (2022年8月30日 18時) (レス) @page15 id: 2c77e9de22 (このIDを非表示/違反報告)
ちろる - ちょいと寂しいけど、長い間ありがとうございました！良い人生を！ (2021年10月25日 0時) (レス) id: c48e44e08a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2021年8月11日 8時
