44 Juri ページ44
樹「さん、なんて呼ばないで下さいよ。
俺は今、あんたの家来なんだから。」
『でも、私みたいな田舎の仕立て屋だった者からしたら、
お城で働く人たちはみんなすごい人だから…。
そもそも家来なんて、』
樹「あんたは次期国王の妻になるんだろ？
切り替えてもらわないと俺らが困ります。」
『あ、ごめんなさい。
そうですね、決めたからにはちゃんとしなきゃ。』
また困らせちゃいましたね、なんて苦笑いと
一つだけ咳払い。
『では、私の家来の樹さん。』
さんやめろって言ったのに。
樹「なんですか、A様？」
『様をつけて呼ぶこと、敬語で話すこと、あと私の食事を黙って見ていることを禁止します。』
Aって呼んで下さい。
友達になって、なんて無理は言いません。
でも私と一緒に食事をして、
そしてできれば仲良くして下さい。
そんなことを言い出した。
樹「自分が何言ってるかわかってます？」
『あ、敬語使った。なのでマイナス1ポイントします。』
樹「え、ちょ…もう始まってるし…。
マイナスポイント入ったらなに？」
『マイナス1するごとに私が1落ち込みます。しゅん、』
樹「なんだよそれ！」
あまりにめちゃくちゃで、
込み上げた笑いと一緒にそうつっこんでしまった俺に、
彼女もくすくすと笑った。
『樹は私を命をかけて守ると言ってくれました。
私のためにそんなふうにしてくれる人を家来だなんて見下すような言葉で呼びたくないんです。』
それに長く一緒に過ごすなら、その方が楽しいでしょう？って。
この人は本当に変わってる。
樹「…わかった。二人だけのときね？俺にも立場があるからさ。」
『うん。ありがとう、樹。』
そんなことがあって。
樹「はい、また俺の勝ちー。」
『んあーーー！もう一回！もう一回だけ！』
樹「またかよ？！これで何回目のもう一回？！」
今では、この前街で買ってきてやったカードゲームをしたり…。
『うわぁーーーい！』
樹「こらこらこら！」
庭に出ればドレス着てんのに走り回ろうとするAの首根っこ掴むくらいに仲良くはなれたんだけど…。
『樹はなんだかんだいつも私のわがままを叶えようとしてくれるね。ありがとう。』
その笑顔はさ、俺じゃなくて王子に向けてあげてよ。
あの人はきっと、
お前の心全部が欲しいんだから。
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momo(プロフ) - 綾鷹さんお久しぶりです。久々に読み返しています。まだ途中までしか読めていませんが全てを知った上で読み返すと、自然と涙が溢れてきます。きょもの気持ちも、北斗の気持ちも、主人公の気持ちも、カヤの気持ちも。全て知った上で読むとさらに切ないです。ずっと大好き (2022年4月30日 20時) (
レス) @page16 id: 7c710f6426 (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - いつもご感想ありがとうございます、とてもとても嬉しいです！カヤちゃんのことも好きになってもらえてよかったですー！がんばります！ (2019年5月6日 6時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
momo - なんだか、このお話を読んでいて、使用人のカヤの事を思うと胸が苦しくなって面白いです！ このお話やっぱり大好きで、目が離せません！頑張ってください。 (2019年5月5日 10時) (レス) id: cbb25d61fe (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - momoさん» おわわ、恐縮です…！ありがとうございます！これからの展開も好きになって頂けるよう祈りつつ頑張ります！ (2019年5月1日 20時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - なゆさん» いつもコメントありがとうございます、とても嬉しいです。このお話の京本くんは一途すぎるくらいに書きたいと思っていたのでそう捉えて頂けてよかったです！ (2019年5月1日 20時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾鷹
| 作成日時：2019年4月15日 7時
