35 Taiga ページ35
空がすっかりオレンジになって、もう帰るというその子に
この日ポケットに入れて連れ歩いていた気に入りの石をあげた。
大「俺の気に入ってる石！セロリって名前なの。」
可愛がってね、って
今考えると相当やばいよね。
頭おかしいとか思われちゃってたかも。
受け取りはしたものの、これなんだろう？と言うような顔でポカンとして
女の子はしばらくしぱしぱとセロリを見てたけど、
大切にするね！
そう胸に抱えて、手を振りながら少し遠くにいるお父さんのもとへ帰っていった。
それが俺とその子の出会い。
お父さん、お母さん、
俺の中にある人の名前ってこれだけ。
まぁ両方とも名前ではないんだけど…。
昔は使用人を名前で呼ぶことなんてしなかったし、
そもそも人の名前を呼ぶ概念もなかったから
その子の名前を聞くこともなかった。
俺らはお互いの名前を知らないまま、それっきり。
一度だけ城に来てるのをすごい遠くから見かけたことはあったけど、
その子と遊べたのはあの日あの一度だけ。
城に呼んでと駄々をこねても、
使用人の誰一人その子を見つけられなくて。
ある程度体が大きくなっても、あの女の子の手がかりは掴めないまま。
俺は意を決して、ある日城を抜け出した。
今思えば無鉄砲だよね。
情報ゼロでどの街に住んでるかもわからない上に、
俺が大きくなってるってことは
あの子だってそれなりに顔は変わってるだろうに。
変装してとりあえず城下の市場でその姿をしらみ潰しに探した。
そしたらさ、やっぱ王子ってすげーわ。俺持ってるわ。
見つけちゃったのよ、その子を！
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momo(プロフ) - 綾鷹さんお久しぶりです。久々に読み返しています。まだ途中までしか読めていませんが全てを知った上で読み返すと、自然と涙が溢れてきます。きょもの気持ちも、北斗の気持ちも、主人公の気持ちも、カヤの気持ちも。全て知った上で読むとさらに切ないです。ずっと大好き (2022年4月30日 20時) (
レス) @page16 id: 7c710f6426 (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - いつもご感想ありがとうございます、とてもとても嬉しいです！カヤちゃんのことも好きになってもらえてよかったですー！がんばります！ (2019年5月6日 6時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
momo - なんだか、このお話を読んでいて、使用人のカヤの事を思うと胸が苦しくなって面白いです！ このお話やっぱり大好きで、目が離せません！頑張ってください。 (2019年5月5日 10時) (レス) id: cbb25d61fe (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - momoさん» おわわ、恐縮です…！ありがとうございます！これからの展開も好きになって頂けるよう祈りつつ頑張ります！ (2019年5月1日 20時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - なゆさん» いつもコメントありがとうございます、とても嬉しいです。このお話の京本くんは一途すぎるくらいに書きたいと思っていたのでそう捉えて頂けてよかったです！ (2019年5月1日 20時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾鷹
| 作成日時：2019年4月15日 7時
