4 You ページ4
おれ大人になったらAをお嫁さんにする。
ある日そう言った北斗は、
その後も度々そういうことを言ってくれてはいたんだけど、
思春期に入るとその口癖はなくなったから…
彼の中で、もう思い出になったものだとばかり思ってた。
私は正直、幼なじみっていうこんなに近くて長い付き合いで
昔からずっと北斗のことしか見えてなかったけど…
これは…
北斗も同じ気持ちでいてくれたってこと…なのかな、
北「なぁ、俺プロポーズしてんだけど。」
『わかってるよ…!』
まだ頭が追い付いてないんだよ!
だって私たちは恋人ですらないんだから。
北「こういうもんぶら下げて、勿体つけんなよ。」
北斗が私の首にかかった革ひもを軽く指で引っ張ると、
服の内側からするっと出てきた小さな銀の輪っかが
彼の目に触れてしまって。
嬉しそうにその目を細めた。
北「…ずっと持っててくれたんだ?」
お嫁さんにする。
それを初めて言ってくれたとき、北斗が私にくれた
赤い珊瑚のついたお守りの指輪。
一個の珊瑚を半分こして作った、
俺のもお揃いなんだって見せてくれたね。
昔はぶかぶかだったこの指輪も、
大人になった今ではどの指にもはめられなくなって。
だけど紐を通してずっと胸に隠し持ってた私の宝物。
北「俺だっていつも身につけてるよ。」
細い鎖を、私と同じように通して首から下げてくれてた北斗。
お互いのを見せ合って。
私たちの手、昔はこんなに小さかったんだ…。
北「うちにお嫁にきてくれる?」
『…はい。』
お返事した瞬間、ぐっと腕に引き込まれて。
子どもの頃は、どっちかって言ったら私の方が背は少しだけ大きくて、
腕の太さだって全然変わらなかったのに
いつの間にか北斗は私よりずっとずっと大きくて、
背中に回る腕はこんなに強く逞しくなってた。
ずっと側で一緒に大人になってきたはずなのにさ、
こうしてみないと実感しないだなんておかしいよね。
北「A、好きだ。」
『私も北斗が好き。』
痛いくらい抱き締めてる腕の中で、
世界で一番幸せだと思ったけど
きっと今以外にもタイミングってあったと思うの。
「あんたたち店の前で何してんのよ。」
北「おわっ、」『うわぁ!』
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momo(プロフ) - 綾鷹さんお久しぶりです。久々に読み返しています。まだ途中までしか読めていませんが全てを知った上で読み返すと、自然と涙が溢れてきます。きょもの気持ちも、北斗の気持ちも、主人公の気持ちも、カヤの気持ちも。全て知った上で読むとさらに切ないです。ずっと大好き (2022年4月30日 20時) (レス) @page16 id: 7c710f6426 (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - いつもご感想ありがとうございます、とてもとても嬉しいです!カヤちゃんのことも好きになってもらえてよかったですー!がんばります! (2019年5月6日 6時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
momo - なんだか、このお話を読んでいて、使用人のカヤの事を思うと胸が苦しくなって面白いです! このお話やっぱり大好きで、目が離せません!頑張ってください。 (2019年5月5日 10時) (レス) id: cbb25d61fe (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - momoさん» おわわ、恐縮です…!ありがとうございます!これからの展開も好きになって頂けるよう祈りつつ頑張ります! (2019年5月1日 20時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - なゆさん» いつもコメントありがとうございます、とても嬉しいです。このお話の京本くんは一途すぎるくらいに書きたいと思っていたのでそう捉えて頂けてよかったです! (2019年5月1日 20時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾鷹 | 作成日時:2019年4月15日 7時