雲雀組 (ページ11)

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とはいえ

こんな仕事の身だから
周りにあまり建物のないところに家を建てた

だから全然レストランが見当たらない

優斗「あー、歩くだけでお腹空く...」

段々とめんどくさくなって来て
もうもやしでいいから家に帰ろうと思いかけた時

優斗「あれ？こんな店あったっけ」

古ぼけた看板のかかった小さな店を見つけた

外観はあまり良くないが、
なんとも言えないいい香りが店の外を纏っている

とりあえず入ってみると

カランコロン

可愛い鈴の音が鳴った

？？「いらっしゃいませ〜」

呑気で、すこしチャラそうな声が奥から聞こえた

店の中はカウンターと
こじんまりとしたテーブル席２つ

そのカウンターには
茶色の髪の毛の少し小さくて華奢な男が座っていた

俺の方をチラリ、と見てから
興味なさそうに手に持っているグラスに視線を戻す

優斗「...？」

なんとなくその男が気になって突っ立ったまま見てると

奥から声の主が出て来た

？？「お客さんだよね？座って座って〜」

言われるがまま、男と一つ席を開けて座る

？？「来るの初めてだよね？
俺はここの店全部を務めてるり...橋本って言うんだ」

優斗「ぜん、ぶ？」

橋本「そ、コックもオーナーもウェイトレスもレジも
全部俺1人でやってんの」

"凄いでしょ？"と笑う彼は
楽しそうだけど何も考えてなさそうだった

おまけに声どころか見た目もチャラい

金髪はホストのようにいい具合に伸びていて
軟骨にまでピアスがついている始末

優斗「は、はは、、笑笑」

橋本「あ、でね、そこにいる男が井上だよ」

井上「は、お前....」

急に話を振られ驚き
わざわざ見ず知らず初対面の俺に
名前を教えたことに怒っているであろう井上

橋本「睨まないでよ、怖いから笑笑」

絶対怖いと思ってないんだろうな、と思ってから、

ふと、我に帰る

もはや自分が何をしに来たのか忘れるほどの
マイペースさに圧倒されていた