. ページ4
暫く
この感覚に
浸っていると
だんだんと手足が重くなってくる
蒼弥 「...こぽっ...」
ほんのちょっとずつ
息ができなくて苦しいのが
脳みそを痺れさせる
間違いなく沈んでいく俺の身体
このまま溺れちゃうのも悪くないな、なんて
そう思ってしまった俺は
腕も脚も動かすのをやめて
上の揺ら揺らと揺れ光るした水面を見たまま
どんどん沈んでいった
苦しいのに
なんでかな、魔がさしているような
そんな感覚になる
このままいったらどうなるのだろうと言う
好奇心なのだろうか
徐々に視界が暗くなっていき
自分の終わりが近づいてくるのがわかる
あぁ、死ぬんだな、俺
視界の半分が黒で覆われた時
誰かがザブンと飛び込んできた
綺麗な水の中に
空気の泡がキラキラと輝く
その人は
腕を伸ばして俺のことを抱き上げると
そのまま水の上へと引き上げた
蒼弥 「っ、ぷはっ！」
久しぶり、って訳でもないけど
太陽の明るさに目が眩む
作間 「蒼弥！大丈夫？」
見なくてもわかったけど
俺のことを抱き抱えたままの人は龍斗で
心配そうに俺を見つめている
蒼弥 「けほっ...うん、ありがと」
先生 「大丈夫か！？」
蒼弥 「大丈夫です、」
色々な人に心配される中
そのまま抱っこされて水から出されて
今日はプールサイドで見学となった
作間 「俺も一緒にいようか」
蒼弥 「んーん、泳いできていいよ」
作間 「そう、...」
寂しそうに向こうに行く龍斗
みんなが飛び込む姿を
揺らめく水面を見ていると
また水に溺れたくなる衝動に駆られる
夏の水は魔物のようなもので
きっと引き寄せる何かがあるのだろう
そんなことを思いながら
ぼんやりとプールを見つめていると
不意に後ろから抱きしめられた
作間 「やっぱ俺もいるよ
だってなんか、蒼弥が水に入りたがってる気がする」
蒼弥 「、....」
作間 「蒼弥が水に入ったら
溶けて水と一緒に無くなっちゃいそうだから」
蒼弥 「なに、それ」
作間 「分かんないけど
取り敢えず終わるまで俺もここにいる
離したくない」
そういった龍斗に大人しく抱かれた
ふとプールを見ると
さっきの怪しさはなくて
ただのみんなが楽しむだけのプールとなっていた
end
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：soya._.soya | 作成日時：2021年5月25日 22時
