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捨てられない、 ページ30
涼side
バタバタと
蒼弥が家を駆け回る音で目が覚める
準備するものがあるなら
言ってくれれば全部やるよ、
と何度も言ってるのに
もぞもぞと広いシングルベッドから出て
下の階へと降りる
涼 「おはよ、」
蒼弥 「あ、おはよう涼
起こしちゃった？ごめんね」
涼 「ううん、大丈夫だよ」
蒼弥 「よかった...
あ、もう行かなくちゃ！
今日も遅くなるから先に寝てて良いよ、」
またか
どこで何をやってるか
全て知ってるのに
嫌われたくなくて
捨てられたくなくて
頷くしかなかった
涼 「あ、分かった...」
蒼弥 「じゃあ、ね」
くるりと後ろを向く蒼弥
このままあいつの元に行ったまま
帰ってこないんじゃないか
そう思った
ガチャリと扉を開けて
今にも行こうとした蒼弥の腕を掴む
涼 「待って！」
蒼弥 「え、ぁ、んむ...」
せめて
朝蒼弥と共にいるのは俺なんだと
蒼弥 「っ、はぁっ、はぁっ、
急に、どうしたのっ...？」
涼 「ごめん...」
悔し紛れのキスは
甘くもなんともなかった
今度こそ
完全にしまった扉を
ただ見てることしかできなかった
蒼弥の気持ちも愛も
もうここにはない
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作者名：soya._.soya | 作成日時：2021年5月25日 22時
