夏祭り ページ27
大光side
人や太鼓の音で騒がしく
屋台のライトで照らされて
色々な匂いが鼻をくすぐる中
蒼弥 「ね、見て！」
楽しそうな蒼弥はあっちを見ては笑い
こっちを見ては目を輝かせる
既に両手には
綿飴の袋に金魚の入った袋
チョコバナナにリンゴ飴...
それだけでは持ちきれず
ケバブ、焼きそば、フランクフルトは
俺のリュックの中の保冷バックに入っている
全部俺の奢り
だって、嬉しそうな蒼弥を見たいから
美味しそうに食べる蒼弥を見たいから
今日は特別
はしゃいで俺の3歩先を歩く、
薄い緑の浴衣を着た蒼弥は
綺麗で儚げで
俺が見てきたものの中で1番綺麗だった
ふと、蒼弥が屋台の前で止まった
蒼弥 「ねー大光、これ買って...？」
ねだるように見つめられ
買わない術などあるわけもなく
屋台を見るとたこ焼き屋さんだった
大光 「いいよ、俺も食べたいし」
蒼弥 「やったぁ、」
大光 「ふふ、
そんなはしゃいだら浴衣崩れちゃうよ？」
ぴょんぴょん跳んでる蒼弥を横目に見てると
顔が思わず綻ぶ
屋台を覗くと
おじいさんが座っていて
元気よく俺を迎えてくれた
「いらっしゃい！」
大光 「たこ焼き、ください」
「毎度あり！」
8個入りと、12個入りがあって
きっと蒼弥はいっぱい食べるだろうから
迷わずに12個入りを買った
「隣の子は、彼女かい？」
作ってもらってる間待ってたら
ふとそんなことを聞かれた
大光 「え、と...」
返事は躊躇った
俺はそう聞かれて嬉しいし
実際そうだけど
蒼弥は嫌がりそうな気もしなくはなかったから
でも、
蒼弥 「そうです、俺の彼氏です」
そう言って俺の腕に自分の腕を絡ませてくる蒼弥に
思わずキスをしたくなる衝動をおさえた
「そーかそーか、いいねぇ、若いってのは」
何かを懐かしむような顔で
ニコニコと笑ってくれて
釣られてこっちもにこりと笑い返す
「ほら、焼けたよ！」
大光 「ありがとうございます」
「楽しめよ！」
明るく送ってもらって
近くのベンチに座ってたこ焼きを手渡す
大光 「はい、」
蒼弥 「ありがとう！」
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作者名：soya._.soya | 作成日時：2021年5月25日 22時
