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蒼弥side
蒼弥 「はぁ...」
全くもって気に食わない
あいつとは"合わない"
の一言では済ませない様な関係で
それは認めたくないけど
俺の中に少し好意と言う思いを
持っているからだと思う
あんなやつ
いっその事嫌いで片付けてしまいたいのに
それが出来ないのが悔しい
家へ帰る道のりは
夕焼けでオレンジ色になっていて
空を見上げると
朱色の太陽が俺を照らす
眩しくて目を細めると
道路の脇に大きな段ボールが落ちているのが見えた
気になって近づくと
中に大きめのゴールデンレトリバーが
お行儀よく座っていた
俺を見て飼い主だと思ったのか
嬉しそうに尻尾をぶんぶんと振る
蒼弥 「なんだよ、俺餌持ってないよ、」
期待を裏切ってしまった様で
少し後ろめたくなりながらも
撫でようと腕を伸ばす
と
「わんっ！」
蒼弥 「うわっ！」
飛びついてきて思わず抱きしめながら後ろに倒れた
体を起こすと
ハッハッと舌を出してきょとんと俺のことを見ている
蒼弥 「ふ、ふはっ」
なんだかおかしくなって
ぎゅうっと抱きつくと、
暖かくてふわんといい匂いがした
ふと脳裏に
優斗の顔が、姿が浮かんだ
馬鹿みたいに人懐っこすぎる所
人を信じて疑わない所
人を包み込む優しさがある所
こんな俺でも
相手にしてくれる所
段ボールには無情にも
拾って下さい
とだけ書かれていた
むっと腹が立つのは
優斗と姿を重ねてしまったからだろうか
蒼弥 「うち、来る？」
言葉なんか通じないはずなのに
「わんっ！」
と元気なでかい声で鳴いた
やっぱり優斗にそっくりだ
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作者名：soya._.soya | 作成日時：2021年5月25日 22時
