緑で回る日常

夏祭り ページ44

作間side

作間 「着いた！」

ギリギリ間に合い、まだ花火は打ち上がっていない
人がいない草むらの小さなベンチに座る
誰もいない静かな場所で、2人だけが浮いている

蒼弥 「すごい、誰もいないね」

ひゅーん..

どんっ！

大きな、綺麗な花火が打ち上がる
あまりの大きさに目を見張る
火の粉が落ちていく姿さえも儚げで綺麗だった

そこからは何個も何個も花火が上がり、消えていく
漆黒の空に吸い込まれていくかのように

ふと隣を見ると、あまりの美しさに見惚れている蒼弥
今なら...

チュッ

驚きでくりくりした茶色の目を見開いている
唇をそっと離すと、ほほがピンクに染まってゆく

今日見たどの蒼弥よりも綺麗で、妖艶だった

蒼弥 「龍斗...」

作間 「ん？」

蒼弥 「好き...」

作間 「俺も、大好き」

もう一度キスをすると、俺らの後ろで大きな花火が
打ち上がった

作間 「来年も来ようね」

蒼弥 「絶対だよ？ 約束」

そう言いながら出された小指に、キスを落とす

蒼弥 「もぅっ、、、///」

作間 「ごめん、つい可愛くて
分かってる、約束だからね」

そう言うとパアッと笑顔になる
そのかわいらしくどこか儚い花火のような蒼弥を
焼き付けるようにじっと見つめた

end

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