11節 ページ12
部屋に戻り、非日常的な出来事を記そうと机の引き出しを開ける。本来なら、そこに日記帳が入っているはずだが…………
「………………は?ちょっと待て、何処に行った!?」
引き出しの中に入っている筈の日記帳とペンが消えており、そこには、何一つとして、物が入っていなかった。
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「……………………」
「私はあなたのカウンセラーじゃありませんわよ………?」
俺はまず、同じキャスターであるメディアに何か知らないか聞いてみた。
勿論、解答など言うまでもなく、戻ってこない可能性もあるとさえ言われてしまった。
「そもそも、そんな大切な物なら持ち歩けばよいものを………」
「バトルで邪魔なんだ!宝具と間違って使ったらあのマスターにどれだけ笑われることか…………」
日記の事を知ってるのは、様々な事を話し合うキャスター仲間のメディアと、この前の珍事件で偶然知られたであろう見習い娘とマスター、マシュも恐らく………程度である。特に、内容まで知ってるであろうのはメディアだけである。
「そんなに悲観なさらず………宝具と混乱するなら宝具変えればいいのですわ」
「俺は元から1つしかないっ!」
更に思考がマイナスに陥る。見られて恥ずかしいものかと言われたら全力で頷ける(そうじゃないなら見習い娘に見せている)。
冷静にメディアは、俺の肩を叩いて、
「もう一度、部屋を探してみませんこと?それで見つかれば大丈夫ですわ」
と言った。確かにそれもそうかもしれないと思い、もう一度部屋に戻って確認することにした。
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しっかり探してみると、机の引き出しの中でも、また違う引き出しの中に入ってたのをメディアが見つけた。確認ミスをやらかすとは思わなかったためか、たっぷりと謝罪した。
その後のことだが、彼女が希望したためか、どういうわけだか『マッチ売りの少女』の格好をさせられた。まさか自分の書いた作品の真似事をするとは思わなかったので、ただ女装するときよりも幾倍も恥ずかしかった。
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「…………今度から、確認は怠らないようにしなければな………」
沢山記した日記を閉じ、まだ明けそうにない夜深くに眠った。
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作者名:シオシオ | 作成日時:2016年10月10日 1時