変わっていくもの、変わらないもの ページ5
「もう戻ってもいい？」
「祐也くん、今から検査の時間だぞ。
今日はAもゆっくり休んで、明日元気だったらまた遊んでやって。」
成亮先生に言われたAは、不満そうな顔だ。
「ゆっくり休むって苦手な分野。
お散歩行っていい？」
良い訳あるか。
「苦手でも休まなきゃ、仕事復帰遅れるぞ？」
俺が点滴を引き、ほぼ強制的に部屋に連れ帰る。
「ねーこのままエレベーター乗ろうよー。」
点滴に繋がれながらフラフラするから、こっちは犬の散歩でもしている気分だ。
「ダメに決まってるでしょ。
そういえば、祐也くんのことを気にしてるのって、やっぱり自分と重なってるから？」
意識を散歩から切り替えたかったこともあり、Aに尋ねた。
「うーん…なんというか。
自分と重なるからってよりは、自分がそうしてもらったからって感じかな？
前は、慶ちゃんとかシゲ先生からいろんなことをしてもらう立場だったけど、今はもう違う訳じゃん。
今度は私も、人にそういうことをする立場なんだなーって。」
Aは、急にハッとさせられることをいうから戸惑う。
「びっくりだよね、もうそんな歳って。笑」
「だな。どんどん変わっていく。」
Aがそういう歳だということは、当然俺もそういう歳な訳で、今まで考えてこなかったことを初めて意識した。
なんてことを話しているうちに、病室についた。
口じゃあんなことを言っていたAも、疲れていたのかベッドに入るとすぐに眠りについた。
スヤスヤ眠るAの寝顔をゆっくり見るのは久しぶりで、俺はしばらく眺めていた。
・
誰かに揺さぶられている感覚がする。
「…貴久くん、そろそろ起きなきゃ。」
Aの寝顔を眺めているうちに、俺も椅子に座って寝ていたのか。
肩には、小山さんがいつも着ているカーディガンが掛かっていた。
Aは既に目を覚ましていて、仕事関連の本を読んでいる。
「すみません、これ、ありがとうございます。」
「どういたしまして。今日当直でしょ？
貴久くんも最近頑張ってたからねー。」
「2日連続で当直だったの？
もー、家でゆっくり休んだら良かったのに！」
なんだよ、その特大ブーメラン。
「ま、貴久くんもAと一緒に寝てた方が休まるんでしょ。
こうしてると昔を思い出すね。
お見舞いに来てAが寝てると、起きるまで待ってるって言うんだけど、いっつも待ってるうちに寝ちゃうの笑」
「へー、可愛い。」
Aがニヤニヤしている。
「変わらないものもあるね。」
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りみ - お話とてもおもしろいです！次のお話も楽しみにしています！！ (2019年1月24日 14時) (
レス) id: 8375485de7 (このIDを非表示/違反報告)
てい - 楽しく読ませていただいてます (2019年1月12日 22時) (レス) id: 70fd39881e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんかく | 作成日時：2019年1月10日 15時
