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「増田くん、来てたんだ。
これ採血結果なんだけど、見てよこの数値。
ヘモグロビン低すぎて、これじゃ倒れるのも納得だよ。」
成亮先生が俺に検査結果の紙を差し出した。
「うわ…というか、この数値見たところお前メシ食って無かっただろ？」
ヘモグロビンの数値も問題だが、血糖値も低い。
「いや、食べたよ？」
明らかに目が泳いでいる。
Aは、昨日の夜勤からそのまま休んだ人の穴埋めで日勤になった。
どうせ、疲れたとかで休憩時間は少しでも寝ていたかったんだろう。
そんなの断ればいいのにと思うけど、Aのそういう頑張り屋なところに惚れたことを思うと何もいえない。
それに、こういうときにAを叱るのは俺の役目ではない。
「3食規則正しく食べること、夜勤明けは必ず休んで寝ることが、夜勤をするときの条件だっただろうが。
大方、誰も手を上げなかったから自分が入ったってところだろうけど、そんなこと繰り返すなら夜勤禁止で外来担当に移すぞ。」
Aが小さい頃から主治医をしていた成亮先生は、しょっちゅう入院していたAにとって親のような存在で、Aが恐れる人の一人だ。
ちなみに俺も。
小さい頃、夜にAを連れ出して星を見に行ったときに本気で叱られたときのことは、今でも忘れられない。
「イヤ！病棟で働く！」
患者にガッツリ寄り添って支えになりたいという気持ちが人一倍強いAは、病棟看護師の仕事にやり甲斐と誇りをもっている。
だから、絶対に変わりたくないんだろう。
普通は夜勤のない外来を希望する人が多いのに。
そんなAのことを良く分かってるからこそ、成亮先生もそう脅すんだろう。
「だったらちゃんと約束を守れ。
それと、数値が正常値に上がるまで入院な。
貧血で頻脈になると、心臓にも負担がかかるんだから。」
「えー…」
たった今叱られたばかりなのに不満そうな声を上げたAも、成亮先生が怖い顔を作るとすぐにシュンとなった。
「…ったく、いまちょうど休憩中だから、暇つぶしの本でも買ってきてやるよ。
だから、そんな顔すんな。」
さっきまで怒っていたのに、シュンとしたAを見るとついそんなことを言ってしまうから、俺もAに甘い。
俺が買ってきた本に目をキラキラさせるAは、本当に可愛かった。
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りみ - お話とてもおもしろいです！次のお話も楽しみにしています！！ (2019年1月24日 14時) (
レス) id: 8375485de7 (このIDを非表示/違反報告)
てい - 楽しく読ませていただいてます (2019年1月12日 22時) (レス) id: 70fd39881e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんかく | 作成日時：2019年1月10日 15時
