第九話 やけになった夜 ページ9
第九話 やけになった夜
深「…ただいま」
なんとか日付が変わる前に帰ってきた。
リビングに行くと、潤はソファに横になって寝ていて、テーブルにはビールの缶。
拗ねてやけ酒でもしたのか…すごく申し訳ない…
とりあえずテーブルを片付けようとしたら、潤が箱を抱えて寝ていることに気づいた。
深「抱き枕じゃないでしょ」
寝ずらそうだから取り上げる。
潤「んぐっ……うー…あぇ…ひろ…の…」
起きてた？それとも寝言？
潤「んーー……」
試しに箱を返すと落ち着いた。
もう一度取ってみる。
潤「んーーー…」
また返して、少ししたら取る。
潤「うー……」
面白っ。逆に怖い気もするけど。
でもさすがに3回はやりすぎだったようで、潤はふらふらと起き始めた。
深「おはよう。…違うかもだけど」
潤「おは…え、今21日…？」
深「20日の23時48分」
潤「……あっ！それ開けて！」
さっきまで自分が抱いていた箱を指して、深夜に急に叫ぶ。
潤「開けて開けて開けて、日にち変わる前に！」
そんな焦らなくても…と思いつつ、箱を開けて中身を出した。
潤「誕生日おめでとう！めっちゃ遅いけど」
誕生日プレゼントをくれるという約束をしたのを思い出した。
エプロンか…今使ってるのがそろそろ本当に破れたりしそうになっていたから、ありがたい。
深「ありがとう…！」
潤「渡すのギリギリになったのは大翔のせいだけどね」
深「あ、うん…ごめん…」
潤「結局事務所の人と何してきたの？…いや、そこまで怒ってるわけでもないんだけどさ…」
深「その…事務所の人に、誕生日祝ってもらってた…」
潤「そうなんだ、良かっ…えええええ！？そうなの！？」
すごい驚かれた。
無理もない…そんなこと初めてだったし…
盛大に何かした訳でもなく、最初に「おめでとう」をした以外ほとんど変わらなかったからな…
深「うん。ごめん…行く前にプレゼント開けるくらい、すればよかったね…」
潤「もういいよ。疲れたでしょ」
潤は笑って言った。
深「…疲れた」
潤「明日は2人でゆっくりできるから。大翔の料理食べたい」
深「分かった」
明日は珍しく2人とも休みの日だった。
潤に料理ふるまうのと、あとは何して過ごすんだろう。
楽しみで仕方なくて、疲れてるはずなのに全然眠れなかった。
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作者名：はるか | 作成日時：2021年1月8日 19時
