第六話 まさかの ページ6
第六話 まさかの
急に大翔と話す時間が減った。
仕事から帰ってきても大翔はまだで、連絡なしだったり、いるのに「忙しいから」と料理も作ってくれなくなったり。
俺、ついに避けられ始めた？
潤「風呂沸かすけど入るー？」
深「入んない」
部屋越しに聞くもまた冷たくあしらわれる。
潤「…なんか手伝おうか？」
難しい事件にでもぶち当たったのかな。
こんな俺が手伝うにはまず法律を死ぬ気で覚えなければならない気もするけど、大翔のためだ。
すると、床とドアの隙間からスッと尋常じゃない速さで1枚の紙が出てきた。
潤「ぁびっくりした！」
え、これ俺の仕事？渡し方すごい雑では？
潤「これ…調べるの…？」
紙には、ある会社の取引先のリストが書いてあった。
偶然なのか、俺が勤めてる会社も取引先にあって。
そういえば、まだ入社したての頃に上司から「この会社とは深く付き合うな」とか言われた記憶がある。
潤「…もしかして俺じゃないとできない系か！？」
深「正解、頑張って〜」
いやすげー他人事！
でも久々に元気な声聞けて嬉しかったので、やる気満々で自分の部屋に行った。
欲を言えばもう少し話したいし、同じ空間でいたいんだけど、大翔の気分だろうから逆撫でしちゃいけない。
そう思って、この状況をもう少し我慢することにした。
はずだった。
なんかもう"寂しい"を通り越して"悲しい"。
会話が減ってから5日。
結局、俺が調べに調べた会社の話はどうなったんだろう。
言ってしまえばあの会社、超ブラックなとこだった。自分でもちゃんと覚えてるのはこれくらい。あとは怪しい。
潤「大翔…」
話しかけてみよう。
部屋を出たら、ちょうど大翔がこっちに来る音がした。
潤「大翔ッ」
出会ってすぐの時、大翔が俺のこと抱きしめてくれたみたいに、俺は大翔に抱きついた。
深「うあっ、なに！？」
潤「ねえ…なんで俺のこと避けてたの…」
深「避け…て…えぇ…？」
潤「だって避けてたじゃん…！なんで構ってくれないの…なんで同じ部屋にいるのもダメなの…」
ああもう！本当にBLじゃん！
でも幸せなのはなんで！？
ずっとこうしてたいよ！
深「じゅ、潤……僕ね…避けてたわけじゃないんだよ…勘違いさせてごめん……」
…え？
潤「…違うの…？」
深「そう、違うの…。ちょうど潤に渡したかった」
大翔が懐から出したのは長細い箱。
深「誕生日、おめでとう」
えっ、誕生日プレゼント！？
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作者名：はるか | 作成日時：2021年1月8日 19時
