第二話 オタク気質を抜け ページ2
第二話 オタク気質を抜け
潤「ひっ……ただいま……」
まだいるよ…なんなの…
怖くて入りたくないけど、ここ家だし実家は遠いしで、できることが何もない。
深「え、なんでビビってるの？」
潤「いやだって推しが…」
深「？」
潤「な、何でもないよ？！ちょっ、トイレ行くね！」
ですよね推しに"推し"って言葉使っちゃダメですよね！
トイレに逃げ込んで策を練る。
でもここはもう、何もなかったように普通に振る舞うしかないのかな。向こうも普通だし…。
何を言われても動じないことを目標に、意を決してリビングに戻った。
深「お腹でも痛かった？」
潤「え…？」
早速目標が危うくなってるぞ俺頑張れ。
深「トイレ長いなーと思って」
潤「あっ、うん、それもあるんだけど考え事してて。もう大丈夫だから」
噓はついてないからいいよね…。
ってか普通に振る舞うってこんなに難しかったっけ！？
潤「あ…もしかして晩飯、作ってくれた…？」
推しはジャケットを着てない。今は寒い寒い冬だというのに。
これは…ついに推しの料理が食べられるのではないか！？
深「うん、そう。食べる？」
潤「おお！食べないという選択肢はない！」
めちゃ嬉しくてついオタクっぽい反応をしてしまったが、どうなんだこれ。
深「ふふっ…じゃ温める」
あれっ、今、笑いませんでしたか…？
皆さん、あの天使の笑顔を生で拝みました…。
予想を超えた料理の旨さに悶絶した。
潤「え…すんげー旨い」
俺の推し…こんなのを毎回作ってたのか…
深「ネットで見つけて気になってたから初めて作ったんだけど」
潤「いや"初めて"のクオリティじゃないって」
推し、ネット見るんだね…親近感…
しかもこれ、前に見たテレビで紹介されてたやつかも。
潤「俺もこれ食べてみたかったんだよね」
深「へー…」
潤「…何その目！」
深「意外だもん。潤がこういうの好みって」
潤「好みとかじゃなくてただ食べてみたかっただけなんだって///」
推しよ…名前で呼ばないでくれ。マジで照れるから。
すると、推し…違う、深山くん…深山先生？は急に黙ってじっと俺を見てくる。
(オタク気質どうしても抜けない！)
潤「…どうしたの？」
聞いても何も言わないし、顔をずっと見てられるはずもなく、慌てて目をそらした。
そうしたのが悪かったのか。
ギュッ
潤「…！？」
深山先生に、推しにバックハグされるなんて。
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作者名：はるか | 作成日時：2021年1月8日 19時
