第一話 推しの夢 ページ1
第一話 推しの夢
俺はいわゆる"オタク"。
推しを作って、推しを拝んで、推しのために働いて、推しのグッズを買って…
そんなふうに生きている人間。
昔はアニメが主だったけど、最近はドラマにも興味がある。
それで、日曜にやってたドラマにハマり、仕事終わりに録画を見返していた。
潤「あーここすげー尊いんだよなー！」
スマホでみんながSNSとかに書いてくれてる感想を読みながら、テレビの画面は推しをロックオン。
潤「可愛い！めっちゃ可愛い！…だよね、これ本人考えたセリフとは思えん」
なんて、傍から見たら変な人にしか見えないことを、一人で細々かつ盛大にやっている。
オタクのあるあるだと思う。
そんな俺の推しはといえば、深山大翔。松本潤がやってる。奇しくも同姓同名な俺。
自分と同じ男の人が、こうやってテレビに出たりして人気なのは、俺は普通に凄いと思うし尊敬している。
はあ…松潤でも深山くんでもいいから会えねえかな…とか考えながら、もう遅いので推し鑑賞をやめて寝た。
"バカ、風邪ひくじゃん"
潤「んー…」
また夢だろうけど、深山くんの声がする。
"寝相悪いなぁ。まあ知ってたけど…起きろー"
潤「えー深山せんせ…」
"早くしないと遅れるよ"
潤「んぁーめちゃ深山せんせ起こしてくれるじゃん…夢覚めんといてくれー…」
いつもの調子で寝言的に言った、はずだった。
深「はぁ？ゴタゴタ言ってないで起きなよ、潤」
潤「はいッ！！？？」
名前呼ばれたんだが！？と飛び起きたらなんということでしょう。
潤「…え"っ」
推しが！マジでいる！！
さも同然とばかりに俺のベッドの横に鎮座している！！！
潤「…ええええ待って待ってまって！？何！？なになになになに！？」
深「うーるっさい、いいから行く！」
潤「へッ！？！？」
深「遅刻が目に見えてるからタクシー呼んだ。はい行ってら」
潤「あああううううん分かった行く！」
よく分からんが推しには抗えない。
たぶん史上最速で着替えて出勤した。
本当に呼んでくれたのか偶然か、タクシーが近くに止まっていたので乗っていった。
マジでやばいから、幻が注意喚起してくれたのかな。
職場行けばしばらく集中できるから、落ち着いてから帰ろう。
そして帰ってきた。
潤「…ただい…ま…？」
チラ見みたいにちょっとだけ扉を開けてみる。
まだいたら俺、落ち着いてないよねきっと…
深「おかえり」
まだ落ち着いてないのねーーーーー！？！？
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作者名：はるか | 作成日時：2021年1月8日 19時
