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どのくらい経っだろうか。
重岡くんは私から離れると、黙ったままで、椅子に座り直した。
どうして、どうして彼は私に。
重岡くんにはあの子が居るでしょ。
私にだって望がいる。
「…重岡くん、」
言葉が続かなくて、喉がつっかえるようだった。
重岡くんは小さくため息をついて、俯いたまま言った。
「由依と過ごして、それなりに幸せやった。
けど、いつも考えてるのはAちゃんのことやってん。
それに、どんどん自分の気持ち抑えれなくなってもうて。
俺はやっぱり、由依やなくてAちゃんが好きや。
ずっとあの頃のまま、Aちゃんが好きやねん」
私のずっと待っていた言葉。
「私も…私もずっと重岡くんが好きなままだよ」
「…でも、Aちゃんも付き合ってる人おるんやろ」
そう言う、伏し目がちな彼の横顔に、好きが溢れる。
愛おしくて、愛おしくて、たまらなくなる。
彼に望のことを話すのが苦しい。
でも、隠すのはもっと苦しい。
「私ね、結婚するの」
彼は何も言わなかった。
そんな彼の顔を見るのは、やっぱり苦しかった。
「重岡くんだって、大事にしなきゃいけない人が居るでしょ？苦しませることになるよ」
彼に嘘をついた。
本当は、あの子が苦しんだって、あなたと一緒に居たい、と思ってしまっている最低な私が心の底にいるのに。
決まってしまっている、変えられない運命とか。
お互いに背負ってしまっているものとか。
全部全部、投げ出してしまいたかった。
二人の間に流れる重苦しくて、暗い、でも何処か甘い空気を切り裂いたのは、彼の携帯の通知音。
画面に表示された、あの子の名前。
彼は顔を少し歪めた後、そっと携帯を伏せた。
そうして、あの頃のままの真っ直ぐな瞳で、
でも苦しそうに作り笑顔を見せた重岡くん。
私の方にゆっくり近付いて来て、私をそっと、腕の中にしまった。
そのままで、彼は少し震えた声で言った。
「このまま、二人でどっか行ってまおうか」
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みなみ(プロフ) - ゆん°さん» ここまでありがとうございました！！！ (2017年5月15日 21時) (
レス) id: 53336b01a0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん°(プロフ) - 読んだよ〜！完結おめでとう！！ (2017年5月15日 21時) (レス) id: 5c49c99a1a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - ありがとうございます！そう言って頂けるととてもやる気が出ますし、嬉しい限りです。これからも更新ペースは遅いかもしれませんが、物語を丁寧に紡いでいけるように頑張りますので応援よろしくお願い致します！ (2017年5月5日 20時) (レス) id: 53336b01a0 (このIDを非表示/違反報告)
はまやん(プロフ) - みなみさんの世界観が好きです、言葉遣いが綺麗で、比喩の部分とか素敵だと思います。切なさが文に表れていて心が揺らされます。好きです。忙しいとは思いますが頑張ってください。 (2017年5月5日 20時) (レス) id: 140c01c743 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みなみ | 作成日時：2017年4月9日 15時
