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学校終わりに、望に連絡すると、すぐに来てくれた。
車に乗り込んで望が向かった先は、高級な店なんかじゃなくて、普通の定食屋さんだった。
驚いている私を見た望は、「こういう所嫌やった?」と不安そうな顔で言ってきた。
「こういうお店、大好き!」
「ほんま?よかったあ!」
その後も、会話は途切れることは無かったし、料理も今までに行ったどんな有名なお店よりも、何倍も美味しかった。
望と居る時間は楽しくて、幸せなものだった。
けれど、埃をかぶって、ずっと無理矢理自分の奥の奥に押し込めていた想いが、息を吹き返して、私の中で大きくなって、その時間を、曇らせた。
望の声なんて私の耳には入っていなくて、
望の笑顔は重岡くんの笑顔で塗り潰された。
「A?聞いとる?どうしたん?」
「ううん、何でもない、それでどうしたの?」
また楽しそうに話し始めた望に相槌を打ちながらも、目の前にいる望に重岡くんを重ねてしまっていて。
彼よりも高い背。
違う声。
違う呼び方。
重岡くんと違う。
そう思う度に、私の想いが再び溢れ出そうとしてきて。
あなたじゃだめなの。彼がいいの。
そう思ってしまった。
店を出て、また車に乗る。
私の家に着いても、何も言わない望。
「どうしたの?」
「あのさ、」
彼は私の方に体を向けて言った。
「親が言ったから結婚とか俺は嫌やねん。
せやからちゃんと言いたい。
あんな、最初は無理矢理やったけど、メッセージのやり取りしたり、こうやってご飯食べたりするのめっちゃ楽しいんよ。
まだ会って短いけど、俺はAがちゃんと好きやから。
せやから無理矢理結婚なんかじゃなくて、Aが好きやから、ちゃんと付き合いたい。
んで、結婚したい。
せやから、結婚を前提にお付き合いさせてください。」
こんなに嬉しいことを言ってくれたのに、重岡くんのことを考えている私は最低だ。
でも、重岡くんには彼女がいるし、私が今何と返事をしようと、未来は決まっている。
私に選択の余地はない。
親から無理に強いられた結婚が本物の幸せに、愛になるなら、こんな嬉しいことは無いのに。
私も望が好きだ。
でも、本当に好きなのはあなたじゃない。
でも、「ありがとう、お願いします」
そうやって笑うことしか、私には出来ない。
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みなみ(プロフ) - ゆん°さん» ここまでありがとうございました!!! (2017年5月15日 21時) (レス) id: 53336b01a0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん°(プロフ) - 読んだよ〜!完結おめでとう!! (2017年5月15日 21時) (レス) id: 5c49c99a1a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - ありがとうございます!そう言って頂けるととてもやる気が出ますし、嬉しい限りです。これからも更新ペースは遅いかもしれませんが、物語を丁寧に紡いでいけるように頑張りますので応援よろしくお願い致します! (2017年5月5日 20時) (レス) id: 53336b01a0 (このIDを非表示/違反報告)
はまやん(プロフ) - みなみさんの世界観が好きです、言葉遣いが綺麗で、比喩の部分とか素敵だと思います。切なさが文に表れていて心が揺らされます。好きです。忙しいとは思いますが頑張ってください。 (2017年5月5日 20時) (レス) id: 140c01c743 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなみ | 作成日時:2017年4月9日 15時