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しげと付き合うようになってから、彼女はよく笑うようになって、瞳も生き生きとしていた。
部活の無い日には、二人でいつも会っていることも知っていた。
自分の気持ちは、自分が一番よく分かっているくせに、かっこつけて、二人が休み時間に話せるように上手くやってあげたりして。
俺は何をやってるんだろう。
本当はしげだけにその笑顔を見せて欲しくない。
俺にも、向けてくれないかな。
自分で押し殺すと決めたはずなのに。
しげは何も悪くないのに、全て自分のせいなのに、しげを妬んでしまっていて。
そんな自分がとても子供に思えて、恥ずかしかった。
でも、ある日しげは居なくなった。
冬休みに急に連絡が取れなくなって。
俺はしげのことはもちろん心配だったけれど、山下さんのことが一番心配だった。
しげが急に居なくなって、今彼女はどんな思いで年を越そうとしているんだろうか。
この降り積もる雪を、どんな想いで見ているんだろうか。
学校が始まっても、しげは来なくて。
薄々勘づいては居たけれど、やはり中間先生の口から聞かされた事実は信じ難いものだった。
そして、しげが居なくなってからの山下さんは、目を背けたくなってしまうほどに苦しんでいて。
俺は結局何も出来なかったんだ。
今まで以上に、何も出来なかった。
俺はしげの代わりになんて、なれない。
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みなみ(プロフ) - ゆん°さん» ここまでありがとうございました!!! (2017年5月15日 21時) (レス) id: 53336b01a0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん°(プロフ) - 読んだよ〜!完結おめでとう!! (2017年5月15日 21時) (レス) id: 5c49c99a1a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - ありがとうございます!そう言って頂けるととてもやる気が出ますし、嬉しい限りです。これからも更新ペースは遅いかもしれませんが、物語を丁寧に紡いでいけるように頑張りますので応援よろしくお願い致します! (2017年5月5日 20時) (レス) id: 53336b01a0 (このIDを非表示/違反報告)
はまやん(プロフ) - みなみさんの世界観が好きです、言葉遣いが綺麗で、比喩の部分とか素敵だと思います。切なさが文に表れていて心が揺らされます。好きです。忙しいとは思いますが頑張ってください。 (2017年5月5日 20時) (レス) id: 140c01c743 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなみ | 作成日時:2017年4月9日 15時