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でも、彼女への想いに気付いても俺は何も出来ずにいた。
自分の勇気の無さと弱さに苦しむ日々。
いつも一緒にいる友達にも嫌気がさし始めていた中二の夏。
彼は突然現れた。
真っ白で、真っ直ぐな人だった。
同じ関西出身ということで、俺達はすぐに仲良くなった。
でも、転校してきた翌日から彼はずっと彼女を見ていた。
誰と話していても上の空で彼女のことばかり考えているようだった。
話しかける勇気すら無かった俺なんかと違って、毎朝声をかけているしげ。
心の中では嫉妬心が芽生えていることに、自分でも気付いていた。
でも、彼女の話をすればしげだって彼女とは距離を置くだろうと思っていた。
でも、彼女には関わらない方がいい。
そう言った俺に、しげは軽蔑の目を向けた。
その時に気付いた。
彼女のことを想いながらも結局何も出来ずに表面上は皆と同じことをしている俺と、
まだ出会って僅かなのにも関わらず、彼女を真っ直ぐに守ろうとすることができるしげ。
彼女にとって、しげが居ればそれは一番幸せなことだって。
考えなくても分かっていた。
だから、俺は彼の背中を押した。
自分の想いが、決して薄れないことを知りながら、蓋をして。
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みなみ(プロフ) - ゆん°さん» ここまでありがとうございました!!! (2017年5月15日 21時) (レス) id: 53336b01a0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん°(プロフ) - 読んだよ〜!完結おめでとう!! (2017年5月15日 21時) (レス) id: 5c49c99a1a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - ありがとうございます!そう言って頂けるととてもやる気が出ますし、嬉しい限りです。これからも更新ペースは遅いかもしれませんが、物語を丁寧に紡いでいけるように頑張りますので応援よろしくお願い致します! (2017年5月5日 20時) (レス) id: 53336b01a0 (このIDを非表示/違反報告)
はまやん(プロフ) - みなみさんの世界観が好きです、言葉遣いが綺麗で、比喩の部分とか素敵だと思います。切なさが文に表れていて心が揺らされます。好きです。忙しいとは思いますが頑張ってください。 (2017年5月5日 20時) (レス) id: 140c01c743 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなみ | 作成日時:2017年4月9日 15時