永遠の想いをあの空に〈赤〉 (ページ50)

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学校へ向かう途中、小瀧くんから昨夜届いていたメッセージに気付く。

文面にも、明るくて律儀な小瀧くんの人柄が滲み出ていた。

「あのさ、Aって呼んでもええ？俺のことも望って呼んでええから！」

やり取りをしていると急に届いたそんな言葉に、もちろん、って返事をして、携帯に望と登録し直す。

男の人と呼び捨てで呼び合うことなんて初めてだったから、自分の名前なのに、その響きにどきどきした。

重岡くんの、Aちゃんと私を呼ぶ声が、蘇った。

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「着いたで」

そんなことを考えていたら、もう学校に着いていた。

まだ少し時間があったので、キャンパス内を一人でゆっくりと歩く。

私をすり抜ける追い風は、春の香りを運んできて、私の髪を乱す。

そんな風の中に懐かしい香りが混ざっていた。

あの日、あの場所で、
彼に抱き寄せられた時に香った、あの香りが。

はっとして振り向くと、そこに居たのは、

初めてあの場所で夕日を見つけた時のように目を大きく見開いて、私を見つめるあの人だった。

「…っAちゃん…」

あの頃と変わってはいたけれど、
やはり私の目の前に居るのは、ずっと会いたかった人。

やっと、やっと逢えた。

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