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残って勉強をするふりをして、皆が帰るのを待つ。
ようやく一人になると、私はいつもの場所へと向かった。
私の学校は横に長い造りになっていて、廊下がとても長い。
だから、多くの生徒は突き当たりまで行くことはほとんどない。
でもその突き当たりに私の好きな場所がある。
教室を出て左へと進んでいく。
職員室も保健室も通り過ぎて、突き当たりにようやく辿り着く。
そこにあるとても大きな窓から見えるのは、学校のすぐ側を流れる川と、そこの河原へ続く急斜面の草の坂と、果てしなく続く空。
じりじりと沈んでいく夕日。
それを粉々に砕いた欠片を散りばめたみたいに夕日と同じ色に輝く川。
この景色を放課後に独りで見るのが大好きだった。
その景色を目に焼き付けるみたいに見ていると、
「すごい景色やな！」
という少し変わった声が廊下に響いた。
慌てて振り向くと、そこには目を大きく見開いて夕日に心奪われる重岡くんがいた。
「重岡くん！？」
「ここ、Aちゃんの秘密基地なん？！」
「ふふっ、秘密基地って、小学生みたい…」
そう言うと彼はははっと笑った。
私もつられて笑う。
夕日が私達を包む。
彼の瞳にも小さな夕日の欠片が散りばめられていた。
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作者名：みなみ | 作成日時：2017年3月7日 13時
