いろとりどり (ページ10)

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彼の異変に気づいたのは、つい1年前のことだった。

いつも付けている香水ではない女物の匂いを纏わせて帰ってきた時、腹が立つ以上に呆れてものも言えなかった。

そういや、好きと口にするだけで
実際には学生の頃よりも距離感を感じるのは私だけか。

彼に限ってそんなことはないと信じていても、
彼の心がここにあるのかすらもう分からない。

同棲を始めて5年、
そろそろ結婚しないの？と言われ続けて早3年が経った。

時は残酷なもので、
向き合おうとすればするほど、背けたい事実に変わっていくし
挙句には浮気疑惑も挙がって、どうもそんな気力は無くなって来ているのも事実。

だけど、星占いのような誰にでも当てはまることですら
恐れている2人だからこそ、

長く付き合ってきた今の関係に区切りをつけることはせず、このままお互いに潜めているだけになるだろう。

今日も

飲み会があるけどなるべく早く帰るね

と言って家を出て行った背中を思い出し、

あの日のように女物の匂いを纏わせて帰ってくるのか、と

1人寂しく部屋で待つ