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高校3年の6月
進路調査の紙を前にして頭を抱えている君を前に
あと一週間後に訪れる高校最後の体育祭に思いを馳せていた。
さすがに高校から先の進路は別々になってしまうことは分かっていたが、
あまりにも君が悩んでいるもんだから
海「特に決まってないんだったら、同じ大学行こうよ。」
なんて声をかけてしまった。
それに対して君は
うんともすんとも言わず、顔を覗いてみると
しっかり眠っていた。
どうしてこんなにも近くにいるのに、遠くに感じるのか。
どうしてこんなにもアピールしているのに、君は気づかないままなのか。
もしかしたら気づかないフリをしているのか？
--
「海ちゃんリレー出るんだっけ。」
そう聞いてきた君は、いつも下ろしている髪の毛を
いい高さで後ろにひとつに縛り
いかにも運動が出来そうな雰囲気を醸し出している。
実際のところは超絶運動音痴だけど...。
そんなところも愛おしい。
海「高校最後の体育祭だからさ、写真撮って親に送ろうよ。」
そんな口実を作り、幼い頃と同じように肩を並べて写真を撮った。
自分からその姿を収めたいを理由にはキモすぎるから
親に見せようなんて口実、
俺はズルくなったよ、ほんと。
ピストルが軽快に鳴ると、グラウンドの砂を蹴る音が一斉に鳴り出す。
自分の応援席付近を見ると、誰かに熱を持った視線をぶつける君。
あぁ、嫌でも分かっちゃうんだな。こういう時って。
海「水川くん、足速いんだね...。」
誰に向けたでもない言葉が
歓声に紛れた。
自分の番が回ってくるその瞬間、
誰の声よりも鮮明に聞こえてきて、
そうやって俺を期待させるのか。
『幼馴染』じゃない、『一人の男』として意識してくれるかな。
そんな淡い想いを抱えて走り出す。
「＿＿＿海ちゃん！誰よりも突っ走れ！」
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作者名：ジャックと豆の森 | 作成日時：2023年8月2日 5時
