いろとりどり (ページ11)

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寂しく時計の針が鳴り響く部屋は
1人じゃどうも広すぎて

2人だと尚更息苦しくて

ここ最近はAの帰ってくる時間が遅くて

朝くらいしか顔を合わせることがないが

なんとなく雰囲気が違うのは分かる。

思えば、長い時間を共にしてきたからこそ

小指から爪を切る癖も
間隔の深い寝息も
好きな色や自分たちのブームが変わるタイミングも

全てが似てきていて、

小さな変化に気づくほど一緒に居たんだと実感。

だからこそ、お互いのためにならないこの時間に

区切りをつけなければならない。

勇「もしもし、A？」

「あ〜、勇太、どうしたの？」

勇「...お仕事？お疲れ様。」

「ありがとう。最近帰るの遅くなっててごめんね。」

そんな世間話をしたいわけじゃない。

本題に入らないといけない。

ここで強くならないと、

「勇太？大丈夫？」

今日も君に甘えさせて

1人じゃこの部屋は広すぎるから

それを理由にして

今日も背中を合わせて、体温を共にする。