いろとりどり (ページ2)

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もちろん、

打ち明けるタイミングなんて他の誰よりも沢山あった。

小5の夏
俺ん家の庭の片隅でこっそり線香花火をした。

毎年そういう風に過ごしてきたはずなのに、
いつもと同じ空気感なのに、
いつもと変わらないAなのに、

大人っぽく見えたその横顔は
キラキラと輝いて見えた。

「今年もあっという間に夏終わっちゃうのかな。」

海「...。あのさ、」

そう言いかけた言葉を留めたのは、
手元を見つめる君が真剣だったから。

「あ〜、落ちちゃった...。」

海「へへっ今年もかいの勝ちだ。」

「悔しい〜...。来年こそは！」

海「Aがいつ勝てるか楽しみだわ。」

結局、中学の頃はお互いの部活やら習い事やらで
毎年恒例だった線香花火は自然消滅してしまった。

中3の春
君が告白されているのを見かけた。

かと思えば、
すごい勢いで頭を下げてこっちに猛ダッシュしてきたから
さすがに焦った。

海「A〜！どこ行ってたの？」

「ごめんごめん、ちょっと職員室に呼び出しくらってて。」

優しい嘘をついた君の顔は、どことなく火照っていて
それが告白されたからなのか
走ってきて体温があがったからなのか

未だに聞けずにいる。

後日、人づてにAが告白されていたという話を聞いたというテイで本人に投げかけると

「そ〜なんだよね〜。でも、私のどこが良かったのか分からなかったし、話したのも片手で数える程度しか無かったからお断りしたんだよね〜。」

と、素直にあっけらかんと話すもんだから
こっちが拍子抜けしてしまった。

タイミングなんて人より多くあった分、
どのタイミングをとっても『今更感』が拭えず、

高校にあがった今もなお、臆病を拗らせている。