僕らの寮部屋はストーリーと恋で詰まってます (ページ34)

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第33話ページ34

千秋side

あれからまた熱が上がってきたのだろうか、眠っているような眠っていないようなふわふわした感覚がしていた。

苦しい。

そんなとき、ふにっと柔らかい感触が唇に広がった。

何をされたのか分からなかったけど、それがすごく心地よくて……。

「あ、ん……」

自然とそう漏らしていた。

「ち、千秋。どうしたの？」

「のど、かわいた……」

「ちょっと待ってね！……はい！」

看病道具を用意していたのか、ほどよく冷えた水が出てきた。
頭も痛かったから、その水の温度が冷たすぎなくてちょうど良かった。

「もういい……」

「分かった。千秋、寝る前にもう一度熱計ってね」

「うん……」

ぼけっとしながら体温計が鳴るのを待った。

しばらくすれば体温計が鳴って、それを見た杏は顔を顰めていた。

「千秋、辛いでしょ？解熱剤飲んだ方が良いんじゃない？」

「うん……」

確かに関節は痛いし、眠れそうにもない。

生理痛薬として買っていたロキソニンを解熱剤として服用し、それが効くのを待つしか無かった。

「辛いよね……。薬が効くまでの辛抱だから……」

トン……トン……

規則的なリズムで僕の胸を叩く杏は彼女というよりは母親に近かった。